メニュー

最新の記事

一覧を見る>>

テーマ

カレンダー

月別

敏洋’s 昭和の恋物語り

青春群像 ご め ん ね…… えそらごと(四) 

2023年12月03日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



 「伝票ができたぞ!」と声がかかり、ふたりして倉庫の二階にある事務室に入った。中二階の造りで事務をする人間には不評な一室だ。広さも八畳ほどで、そこには女子事務員が三人と課長が陣取っている。そして社長夫人が経理担当としてにらみをきかせている。主任の席もあるにはあるのだが、一階の入り口近くに机を置いて差配している。現場での仕事が多いからというのが主任の言い分なのだが、社長夫人が苦手だからさと噂されている。
 カウンター代わりの事務棚のうえに小箱がおいてあり、担当者別に伝票が仕分けされている。それぞれに伝票を受け取り、部屋を出たとたんに岩田が「増田商店の本田さんがさびしがっていたよ」と、彼に耳打ちした。きのう急な注文がはいり、彼の代わりに岩田がとどけた言う。にやついた表情でも見せれば冗談かと受けとめられるのだが、能面のように無表情では本当なのかと思える。だいいち岩田がそんな冗談をとばす人間ではないことは、彼自身がよく知ってはいる。彼はといえばふんと鼻を鳴らして無視する態度を見せているが、眉を八の字にしながらも口元がゆるんでいる。内心の嬉しさを隠しきれていない。  いつものようにタイヤを軋ませながら飛びだす。向かいの住人が目をひそめるが、おかまいなしだ。つづいて出る岩田がかるく会釈をして、やっと住民の機嫌がなおった。「あの子も、岩田くんのようにおちつかないものかねえ。いっつもイラついてるんだから」「根はいい子なんですよ。この間なんか、お客さんからのいただき物をおすそ分けしてくれたんですよ」 となりの雑貨屋の女主人がこたえる。しかしそれでも納得ができないらしく、「おまけでも期待してるんじゃないの?」と、こぼした。
?
(本田さんって……、彼好みか? )

>>元の記事・続きはこちら(外部のサイトに移動します)





この記事はナビトモではコメントを受け付けておりません

PR







掲載されている画像

    もっと見る

上部へ