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敏洋’s 昭和の恋物語り

[宮本武蔵異聞] 我が名は、ムサシなり! (三十三) 

2023年12月01日 外部ブログ記事
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(吉岡一門 七)
泥田のなかを逃げるムサシを「許すまじい!」「逃すなあ!」。叫びあいながら一斉に追いかけた。ある者はムサシ同様に泥田のなかを走り、またある者はあぜ道をかけた。決戦の場、洛外下り松に通ずる街道に身をふせていた他の門人たちも、その怒号を聞きつけて一斉にムサシに向かってかけよった。
 すぐに多数の門人たちに囲まれてしまった。四方八方から斬りかかられては、一本の刀では危うくなってしまう。とっさに小刀を抜いたムサシ、両手でもって襲いかかる門人たちの刀を振りはらった。強靱な腕力を持つムサシならではの戦法、二刀流がここに生まれた。
 風車のごとくに、ぶんぶんと大刀を振りまわしながら、門人たちを寄せつけない。一歩二歩と歩をすすめながら泥田から抜けでたムサシ、息を切らす門人たちをしりめに、脱兎のごとくに駆けだした。唖然とする門人たち、まず泥田の門人が脱落した。つづいて、あぜ道を駆けた者たちも息があがり、ついには三人だけが追い駆けることになった。
 突如きびすを返したムサシ、「ウオーッ!」と怒声を浴びせながら斬りつけた。三人は抵抗する間もなく斬りたおされてしまった。ムサシに追いついた他の門人たちも、その様を見て戦意をうしなってしまった。誰からともなく「ここまでだ」との声があがり、その場に泣きくずれた。
“終わった、すべて終わった。これで仕官の道も開けるというものだ” そう思うと、しだいに安堵の気持ちがわいてきた。ほほがゆるみ、笑みが浮かんできた。しかしそのすぐ後に、絶望にも似た思いがおそってきた。言いようのない疲労感におそわれつつ歩くムサシの足どりは重かった。幼子を手にかけてしまったという事実が、手にのこる感触が消えなかった。
 立ちかえったムサシを待っていたのは、予想だにしなかった非難の声だった。「いたいけなおさなごまでをもきりり○すとは、なんとひどうなおとこなのか!」 ムサシひとり対多数の門人という図式であるのに、ムサシを擁護する声はなかった。ムサシをけしかけた商人ですら、「やり過ぎましたな」と無碍もない。
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