メニュー
最新の記事
-
【New!】 『下流老人と幸福老人』 読書日記376 -
『赤と青のガウン』 読書日記375 -
『ケーキの切れない非行少年たち』 <旧>読書日記1594 -
『絆 棋士たち 師弟の物語』 読書日記374 -
『弟子・藤井聡太の学び方』 <旧>読書日記1593
テーマ
カレンダー
月別
- 2024年05 月( 21 )
- 2024年04 月( 26 )
- 2024年03 月( 26 )
- 2024年02 月( 24 )
- 2024年01 月( 27 )
- 2023年12 月( 31 )
- 2023年11 月( 30 )
- 2023年10 月( 31 )
- 2023年09 月( 30 )
- 2023年08 月( 31 )
- 2023年07 月( 27 )
- 2023年06 月( 30 )
- 2023年05 月( 31 )
- 2023年04 月( 28 )
- 2023年03 月( 31 )
- 2023年02 月( 26 )
- 2023年01 月( 31 )
- 2022年12 月( 31 )
- 2022年11 月( 29 )
- 2022年10 月( 15 )
- 2022年09 月( 15 )
- 2022年08 月( 15 )
- 2022年07 月( 17 )
- 2022年06 月( 15 )
- 2022年05 月( 15 )
- 2022年04 月( 15 )
読書日記
『浮遊霊ブラジル』 読書日記297
2023年11月29日
テーマ:読書日記
津村紀久子『浮遊霊ブラジル』文藝春秋(図書館)
amazonの内容紹介はたった2行。
ただ生きてきた時間の中に溶けていくのは、なんて心地よいことなんだろう。卓抜なユーモアと鋭い人間観察、リズミカルな文章と意表を突く展開。会心の短篇集!
というものであるが、読んで見るといつものお仕事小説ではなく、発想が独特でいわば不条理世界の話。
【収録作】
「給水塔と亀」…定年を迎え製麺所と海のある故郷に帰った男。静謐で新しい人生が始まる。(『文學界』2012年3月号)〈2013年川端康成文学賞受賞作〉
「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」…静けさのないうどん屋での、とある光景。(『文學界』2010年2月号)
「アイトール・ベラスコの新しい妻」…ウルグアイ人サッカー選手の再婚の思わぬ波紋。(『新潮』2013年1月号)
「地獄」…「物語消費しすぎ地獄」に落ちた女性小説家を待つ、世にも恐ろしい試練とは。(『文學界』2014年2月号)
「運命」…どんなに落ち込んでいても外国でも、必ず道を尋ねられてしまうのはなぜ?(『新潮』2014年6月号)
「個性」…もの静かな友人が突然、ドクロ侍のパーカーやトラ柄で夏期講習に現われて…(『すばる』2014年9月号)
「浮遊霊ブラジル」…海外旅行を前に急逝した私。幽霊となって念願の地をめざすが、なぜかブラジルに到着し……(『文學界』2016年6月号)
ただ、不条理世界と言っても不条理なのは「生きている間に情報を消費しすぎた女性が落ちた地獄」とか、「急に死んだ私が浮遊霊となった」とか「人から頼まれた調べ物が学校時代のカーストに繋がる」とか言うシチュエーションであり、ほとんどの場合、普通であれば目に入らなかったり、目に止まっても気にしないような対象を客観的に見て語る、語り手の内心が一人称で語られていく。ともあれ、「?」から始まるが、読み終えると納得させられているという離れ業を味わえた。
(2023年11月7日読了)
コメントをするにはログインが必要です