読書日記

『みかんとひよどり』 読書日記295 

2023年11月25日 ナビトモブログ記事
テーマ:読書日記


近藤史恵『みかんとひよどり』角川文庫

昨年の夏に購入したもののどういう訳か放置していた本。ふとした機会に手に取ってそのまま一気に読了した。

内容紹介によると
「肉を焼くことは、対話だ」ジビエを通して繋がる、ふたりの成長物語

始めたばかりの猟で遭難してしまった潮田亮二、35歳。相棒の猟犬と共に途方に暮れていたところ、無愛想な猟師・大高に助けられる。
かねてからジビエを料理したいと考えた潮田は、大高の仕留めた獲物を店で出せるように交渉する。しかし、あっさり断られてしまい――。
夢を諦め、ひっそりと生きる猟師。自由奔放でジビエへの愛情を持つオーナー。謎の趣味を持つ敏腕サービス係。
ふつうと少し違うけど自分に正直な人たちの中で、潮田は一歩ずつ変わっていく。
人生のゆるやかな変化を、きめ細やかに描く、大人の成長物語。

というものであるが、主人公の潮田亮二の料理の腕前はなかなかなものである。それは以下の料理名にも現れている。作中にどのように料理するかが書かれているが名前だけではどんなものだか見当もつかないものもある(こうして見ると猪が多いなあ)。
第一章 夏の猪
第二章 ヤマシギのロースト
第三章 若猪のタルト
第四章 小鴨のソテー サルミソース
第五章 フロマージュ・ド・テット
第六章 猪のパテ
第七章 ぼたん鍋
第八章 雪男
第九章 鹿レバーの赤ワイン醤油漬け
第十章 熊鍋
第十一章 ヒヨドリのロースト みかんのソース
 
フランスで修業しそれなりの腕を身につけ、日本に戻ってシェフとして雇われ開業するがまったく客は来ない。店と料理についてプライドが先走り、流行らせるのに必要な何かが欠けているのだ。で、その結果が現状の閑古鳥。

ただ流行に乗っただけのジビエ小説かと思ったら、存外に骨が太く、獲った動物の解体から保存法、そして調理法などが詳述され、野生動物保護との兼ね合い(この部分がミステリーとしての要素となる)も含めてジビエにまつわる問題の理解ができる。

正直に言えば、私はジビエ料理には興味が無い。もともとグルメ志向ではないし、現状のブームは日本の野生動物問題の1つの解決法にはなろうかとも思うけれども、需給関係から根本的な解決には繋がらないだろうなと考えている。
(2023年11月5日読了)



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