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敏洋’s 昭和の恋物語り

[ブルーの住人]第三章:蒼い恋慕 〜ブルー・ふらぁめんこ〜 

2023年07月23日 外部ブログ記事
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[1969年]1月18日 東大安田講堂陥落3月30日 パリにおける「ベトナム反戦」焼身自殺。
[1970年]3月14日 大阪万博の開幕。そして大盛況。
前年の東大安田講堂陥落が与えた、学生間に漂う閉塞感。これらの衝撃に、突き動かされての作品です。━━・━━・━━・━━・━━・━━・━━・━━・━━
(一)スモークガラス扉
 ひっそりとしずまりかえったこの舗道には、少年の足音のほかになにひとつ物音がなかった。灰色のコンクリートにはめこまれたガラスのなかには、手をかざして月を見あげるビキニ姿のマネキン人形がいる。みき手で帽子をおさえながら、にこやかにほほえみかけるハイウエストのバギーパンツ姿のマネキン人形がいる。 ほのあかるく照らしだす街灯の下には、だれかを待っていたのだろうか、タバコの吸いがらが五、六本捨てられている。はたして、待ちびとは来たのだろうか……。  きょうもまた、星はまばたいている。満月になりかけの月が、その星のまばたきの中に、ひとり孤独だった。その図体の大きさのゆえに、星の中にとけこみきらなかった。しかしそれでも月は、その大きさでもって、それらの星すべてを威圧していた。その通り! まさに月を中心として星はながれていた。
 少年はタバコを口いっぱいに吸いこんでは、すぐに吐きだし、そしてまた吸った。舌にピリピリとした刺激を感じはじめたころには、吸いこんだ煙のすこしを肺にまでながしこみ、鼻からぬけさせた。少年は、たったそれだけの仕種に、いかにも大人になった、と感じていた。きのうまでの己、いやつい三分前までの、タバコをすいはじめる前までのおのれとは、まったくちがうと感じていた。
 にぶいネオンサインの光を頭上にかんじると、少年のまわりには色いろのおとが生じはじめた。しかし、少年の耳にきこえるものはなにもなかった。口を真一文字にむすび、終始だまりこくり、ただひとつの扉にむかっていた。慣れないネクタイのむすびめを気にしつつ、スーツのえりを正し、そしてレインコートのえりもたてなおした。
 濃紺のスーツに、黒の革靴ーしかしそれは、にぶい光沢の磨きがいのない古びた靴だ。その靴が止まり、少年のてが扉にのびる。 どことなく中世的な香りのただよ漂う、木目調でふちどりされたスモークガラス扉だった。銀色のノブが、その木目とはなにか不調和さをあたえている。

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