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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜 (三百三十七) 

2023年03月24日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「冗談いうな! 疲れなんかあるもんか! ひと晩寝れば、十分に回復してるさ。それに、昨夜はたっぷりと、小夜子から力をもらったことだし。小夜子を抱くと、力がみなぎってくるんだ」 耳元でささやく武蔵に、顔を真っ赤にしてうつむきながら「ばか! そんなこと。ひとに聞かれたら、どうするの」と反駁した。「聞かれても構わんさ。大声で言ってやろうか? 恥ずかしがってどうする。新しい女は気にせんのじゃないか、そんなこと」 ぐっと小夜子を引きよせて、道路の真ん中に立ちどまった。けげそうに、ふたりをかわして行き交う人人人。「武蔵、どうしたの。みんな、びっくりしてるわよ」「小夜子をだれかに取られんように、しっかりと捕まえているのさ。俺の大事なだいじな、小夜子をな」「もう、武蔵ったら」
嬉し恥ずかしの小夜子。顔を赤らめつつも、くちを尖らせる。「ほんとにそう思うのなら、浮気をやめてよ! 出張先のあちこちで、どうせ浮気してるんでしょ?」「おいおい、なにを言いだすんだよ。俺が浮気だ? 冗談だろう、俺にかぎって浮気なんて。俺が浮気してるのなら、世の妻帯者の三割ぐらいがしてることになるぞ」「何よ、その三割って。だったら、残り七割はしてないんでしょ? だったら、その七割に入ってよ。あたしのこと、一番大事なんでしょ?」と、納得しない。
「さあ、そこだ。小夜子は、ぜいたくが好きだな。というより、小夜子にはぜいたくが良く似合う。貧乏くさい小夜子は、小夜子じゃない。そしてだ、毎日をニコニコ暮らすのも小夜子らしくない」「どういうことよ、それって。どうせあたしは、ぜいたく女よ。でも、どうしてニコニコ顔が似合わないの? いつも言ってくれてるじゃないの。あたしの笑顔がいちばんだって」「もちろん、小夜子の笑顔はなにものにも代えがたい。百万ドルの笑顔だといってもいい。山本富士子だって、小夜子の笑顔には勝てんさ。けども、小夜子の不きげんな顔も、またいい。いや、その不きげんな顔があるからこそ、笑顔が生きる。分かるか?」
「なあに、それって。あたしのすべての表情がいいってことなの?」「Yes! That's rigght! You winner!」両手をひろげて大声でさけぶ武蔵に、すれ違う通行人が皆がみな、おどろきの顔を見せる。そしてあわてて体をかわして行く。「もう、武蔵ったら。恥ずかしいでしょ、そんな大声で。やめて、やめてったら」 武蔵に抱きかかえられて、身動きの出来ない小夜子。全身の力がぬけて宙を浮く錯覚におそわれる。武蔵の愛情を一身に感じた。
「世の妻帯者の三割が、十分な金を稼いでいるはずだ。そして家族にぜいたくをさせている。しかし俺のように、細君にたんまりの金をつかっている、つかわせている夫は一割にも満たんぞ。どうだ、残りの九割の中に入りたいのか?」「そんなの、嫌!」「だろう? 心配するな、俺は浮気なんぞしていない。もう昔みたいな、女遊びはしていない。そうだ、梅子に聞いてみろ。こんど連れていってやるから聞いてみろ」“また、ごまかされた。でも、いいか。たしかに、香水の匂いをさせて帰ってくることはなくなったし。出張先でといっても、そんな時間もないでしょうし”

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