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敏洋’s 昭和の恋物語り

青春群像 初恋物語り [レモンの夕立ち](六) 

2023年02月12日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



シン公は、アコの肩に手をまわして抱きよせました。おんなものの傘は、ふたりで使うには、すこし小さいようです。
シン公の胸に顔をうずめるアコに、シン公のあたたかい体温がつたわります。シン公の腕にも力が入っていきます。
おもわず、ポッとほほを染めるアコです。そして、右手を、シン公の腰にまわします。
しっかりと、寄りそいます。アコのハートが早鐘のように鳴っています。聞かれはしないかと、心配なアコです。
「よく降るなあ……」シン公の吐息が、アコの髪にかかります。アコは顔を上げると、その吐息を思いっきり、すいこみました。
あまずっぱい、レモンのような味です。アコは、シン公に寄りそいながら、思わず目をとじてしまいました。
シン公の手が、アコの肩に、グッと食いこんできます。すこし痛いほどです。
いつものアコなら、「いたいよ、シンちゃん!」。言ってしまいそうです。でも、アコは嬉しいのです。
その痛みが、シン公の、アコに対する気持ちのように感じられます。「し・あ・わ・せ」。ちいさく、つぶやいてしまいました。
シン公は、アコのかわいらしいふくらみーまだかたさの残るそれを、体に感じます。心の中にざわつきを感じながら、歩きます。

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