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敏洋’s 昭和の恋物語り

歴史異聞 鼠小僧次郎吉 〜猿と猿回し〜(三)誕生! 

2023年01月23日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



そこかしこから拍手がわく。苦笑いを見せつつ、着物のすそをはしょった。「お兄さん、きっぷがいいじゃないか。男だねえ!」。小料理屋の二階から声がかかった。とたんに次郎吉が不機嫌になり、「まっぴらごめんでえい!」と駆けだした。
? 真っ直ぐ進むと先ほどの子どもが盗みを働いた八百屋がある。次郎吉は、いかにもその八百屋の前を通りたくないと言いたげに、わざわざつばを吐き捨てて左へ折れた。どことて行く宛のない気の向くままの散歩、一見そう見えるように肩をいからせている。が、次郎吉の心の中では、先ほどの子どもの事を見ていた者には考えもつかぬ、恐ろしい計画が練られていた。この通りをもう少し歩くと町屋から外れ、大名屋敷の連なる一帯に出る。
 実は、そこが次郎吉の目的の場所だったのである。子どもの一件は、次郎吉にとって天の配剤とでも言うべきものであった。いぶしがられることなく、土屋相模守の屋敷前に来られたのだ。次郎吉の計画は、土屋相模守の土蔵破りであった。すでに、見取り図はある。昨年、建具職の手伝いとして出向いた折りに、屋敷の腰元といい仲になった。その腰元の手引きの元、苦もなく侵入する手筈を整えた。
 計画は、ほぼ完全だ。屋敷内の長局奥向きには、腰元たちだけがいる。この長局の部屋には、屋敷に居中する家来といえど、むやみに踏み入ることは許されなかった。その都度、了解を求めなければならない。否、奥向きよりのお声がかりがなければ、誰も寄りつかない。したがって、警備の方も手薄だった。
 次郎吉の散策の目的は、逃亡用の道順を探すためであった。盗みの難しさは、その侵入時ではなく退避時だというのが、次郎吉の持論というべきものであった。身一つであれば、屋根伝いに逃げることも簡単ではあるが、時として金子箱ごと持ち出す場合もある。一度、屋根伝いの逃亡の折りに、足を滑らせ金子箱内の金子を落としたことがある。それ以来、道順を探すのが重要な仕事の一つになったのである。そう! 次郎吉の意思に反して、金子を落としてしまった。そしてそれが、〔義賊・ねずみ小僧 〕の誕生だった。

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