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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜 (二百四十八) 

2022年06月21日 外部ブログ記事
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 武蔵のとなりに体を寄せて目をとじた。もう三月が経っているのに、昨日のように思い出される。披露宴の翌早朝に武蔵を見おくり、茂作の元に戻った小夜子だった。一緒に帰りたかったのに、と不満の思いが渦巻いている。茂作の顔を見た途端に暴言を吐いてしまわないかと不安な思いを抱えてもいた。しかしそんなおそいくる悲しみの心を持てあまし気味の小夜子を待っていたのは、女学校の同級生と後輩たち、そして恩師たちだった。他校へと転じていた恩師たちも、次々に小夜子への祝福に訪れてきた。
「キャア、小夜子さまあ。ほんとに、おきれいでした。まるでひな人形のおひなさまみたいでした」「ううん、もう女優さんでした。やっぱり、お誘いがあったのはホントなんでしょうね」「ステキな旦那さまですね。うらやましいです、ホントに。キャバレーとかいうお店で知り合われたというのは、ホントですか?」「あたしも、小夜子さまみたいに玉の輿にのりたいです。どうしたら、そんな出会いがあるんでしょう?」
 矢継ぎばやの質問が、あちこちから飛んだ。小夜子に対しあからさまな敵がい心を見せていた同級生らも、いまは羨望の眼差しを向けている。昨夜の疲れが残っている小夜子で、すぐにでも横になりたいと思っている。しかしこれ程の歓待では、むげな態度を見せるわけにもいかない。渋々と車座の中央に陣取ったが、キラキラと輝く娘たちの熱視線が心地よく小夜子に届いた。「あらあら、そんなにいちどきに尋ねられても。いいわ、ひとつずつお答えしましょうね」 満面に笑みを浮かべながら、ぐるりと体を回してみせた。「ほんと、おきれい」「お着物姿をおきれいだけど、やっぱり小夜子さまはお洋服ね」 一斉にため息がもれる中、小夜子が口を開く。
「女優さんのお話ね。確かにお話は頂いたわ。でもあの時は、アーシアがねえ。すごい剣幕でおこりだしたのよ。『あたしの妹をとらないで!』って。熱心なお誘いだったけど、お断りしたのは正解だったかも」「それは、旦那さまとご結婚できたから、ということですか?」 小夜子のおのろけと思った娘から声が飛んだが、小夜子はキッと睨みつけた。自尊心を傷つけられたと、怒りの目を向けた。「女優さんは、大変なの! 大スターの引きで出演すると、いつまでたってもその女優さんを追い越すことはできないわ。それにその女優に、いつまでも負い目を感じるでしょうし。もっともその前に、アーシアが許さなかったでしょうね。とに角、あたくしにべったりでしたから」

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