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敏洋’s 昭和の恋物語り
恨みます (十二)
2022年06月05日
テーマ:テーマ無し
「不安ですよね、ぼくが自宅まで一緒にというのは。わかってます、小百合さんの気持ちは。実は、ぼくには妹がいるんですが……」 大きく息を吐くと、話を続けるべきかここでやめようかと思い悩む様子をみせてから、意を決した風を装ってつづけた。「いま、病院通いしてます。小百合さんみたいにチカンにあったんです。通学途中でした。帰ってくればいいのにムリして登校しちゃって、それでおかしくなって……」 感極まったように両手で顔を隠し「すみません、とりみだして」と、横を向いた。
「ごめんなさい、ごめんなさい。そんな辛いことを思い出させてしまって。そんな事情も知らずに、あたしこそごめんなさい」 一樹の作り話になんの疑いも抱かずに、なんどもなんども小百合があやまりつづけた。とっさの思いつきで無理筋なのだが、からめとられている小百合には冷静な判断のできないことだった。 聞くとはなしに耳に入る二人の会話に、運転手は“娘さん、やられたね。うそだってこと、分かんないだろうかねえ”と、小百合にシンパシーを感じた。“にしても、このお兄ちゃん、うまいわ。ナンパ師かな?”。毎度毎度、キャバクラ嬢にあそばれている己を、小百合に重ねていた。
車の中から見える景色は、普段の風景とはまるでちがうものだった。家々の屋根やらビルの窓ではなく、無機質なコンクリートによる壁やら柱ではなく、そこには人々の毎日の営みが見られた。手をつないで歩く親子づれに、苦虫をかみつぶしたような表情の初老の男とにこやかな微笑みをたたえた老婆の二人、せかせかと足早に過ぎるサラリーマン風の男がいた。「あら。こんなところに公園があるんだ」。ブランコとすべり台で遊ぶ数人の子どもたちが遊んでいる、小さな公園が目にとまった。道路わきに整然と植えられている花――紫のライラックに赤やピンクのポピーらが、小百合の心をほぐしていく。
異国値の地を恋人と旅する、そんな心持ちになっていた。“こいびとだなんて、そんなこと……。一樹さんに失礼よ。いやだ、あたしったら。一樹さんだなんて、名前で呼んだりして”ぽっと頬を染める小百合だが、一樹はまるで気づいていなかった。“もうひと押しするか” 一樹の手が、小百合の手をつつみこんだ。
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