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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜 (二百十七) 

2022年04月08日 外部ブログ記事
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繁蔵と助役の出現に、“よし、決まりだ!”と武蔵がほくそえむ。そして“なんで、今ごろ!”と苦虫をかむ表情の茂作がいた。「もう日取りは、決まったかいの?」と、助役がにこやかに話しかけると、続けて「お婆さまが、本家で宴をやればいいと言うてくださっとるぞ」と、繁蔵が告げた。
「み、御手洗さん。どうなさったんで? なんで土下座みたいな真似を。茂作、やめてもらわんかい!」床に頭をこすりつけている武蔵を見て、繁蔵が茂作をにらみ付けた。「もういい、頭を上げてくれ。わかった、わかったわ。小夜子も納得してのことじゃろう。もういい、わしはなんも言わんぞ」武蔵の時代がかった芝居に付き合わされた茂作こそ、いい面の皮だ。
「そりゃいい、そりゃいい。御手洗社長。先ずもって、村を代表してお祝いを申し上げます。おめでとうございます。茂作さん、いいお婿さんを迎えられたですの。小夜子さん、お手柄です、お手柄ですの」年輪の刻まれた顔を、更にしわくちゃにした助役が小夜子の前にかしこまって座った。もちろん武蔵への思惑からのことだ。「しかし銀幕のスターじゃと皆が言うが、ほんとにその通り。美しくなられた、美しく」歯の浮くような美辞麗句をならべ立てて、助役が小夜子をほめそやす。にこやかな笑みを返す小夜子だけれど、心内では舌打ちしたい思いがある。
“なにを今さら。なにを企んでそんな世辞ばっかりを。はあ、なるほど。タケゾーのお金目当て? 待って、違うわね。本家の繁蔵おじさんが来てるってことは……村長選のこと?行く行くは村長にって話を聞いた記憶があるけれど、今度いよいよ出るつもりなの? それでタケゾーに何をさせるつもりなの? タケゾー、どうするかしら?” 以前の小夜子ならば嫌悪の表情をむきだしにして噛みついたのに、いまは多少の分別を持つゆとりができている。
「御手洗さん、ありがとうございました。茂作とわし繁蔵名義での、多額の寄付をしていただけて。なによりの援軍になりましたです。小夜子、お前からもお礼を言ってくれ。これでぐんと有利になったでの。お前が話をしてくれたのか? そうじゃろうの、でないと御手洗さんがお知りになるわけがないからの。小夜子には冷たい叔父だったかもしれんが、母親の件ではのう。わしとしては何とかしてやりたかったんじゃが、どうにもお婆さまのお許しが出ずに。辛い思いをさせてしまった」

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