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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜 (二百三) 

2022年03月09日 外部ブログ記事
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昨夜のことだ。屈託なくわらう武蔵に、小夜子は頬をふくらませる。“どうしてなの? 不安に思ってないの? 正三さんに気持ちがうつるとは考えないの?”「御手洗小夜子だ、と言えばいい。ロビーに、佐伯正三が待っているはずだ。すこし話をして、それから食事しろ。窓ぎわの席を用意させておく。ゆっくりと話をしていこい」「ホテルだなんて、なにを考えているの」「食事のためさ。いつものステーキの店はだめだ。あそこは、俺と小夜子のためだけの店だからな」
いま、対峙する二人。やくそくの接吻から、はや三年ほどが経っている。そして今、やっとの再会だ。喜びに打ち震える正三に対し、小夜子の高ぶりは、意外なほどにおだやかなものだった。
「本当に申し訳ありませんでした。すぐにも連絡をとりたかったのですが、連絡先がふめいで。あとから分かったのですが、手紙をかくされてしまっていまして。それに入省と同時に特別班に配属されまして。その部署というのが極秘事項を取り扱う部署で、外部との接触をいっさい禁じられました。小夜子さんに連絡をとる術もなく、悶々とした日々をおくっていました。小夜子さん、ああ小夜子さん、どんなにお会いしたかったことか。でも小夜子さんがお元気そうでなによりです」
連綿と言いわけを並べたあとに、取って付けたように再会のあいさつを言う正三だ。冷ややかな表情をうかべて聞きいる小夜子を見るにつけ、口数のすくなかった正三が饒舌となっていく。「きょうの小夜子さんは、一段とおきれいですね。ベルボーイに案内されてこられたおりは、別人かと思いました。新進の女優さんかと、みまごうばかりでしたよ。アナスターシアは気の毒でした。まさか自殺とは、思いもかけぬことで。いかほどの衝撃だったことか、推察するにあまりあります。でもお元気そうで何よりです。
その洋服は、最新モードですね。やはり、ディオールのオートクチュールですか? たしか、Hラインと思いますが。夜子さんならではのチョイスだ。おにあいです、本当に」知りうるかぎりのファッション用語をならべたてる正三。源之助に聞かされていた小夜子とは、まるでちがう小夜子に動揺をかくせない。そして正三が思い描いた小夜子ではなかった。“変わってしまった。この女性は、小夜子さんじゃない”

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