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敏洋’s 昭和の恋物語り

ボク、みつけたよ! (四十六) 

2022年03月07日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



 海水浴場に着きました。ええっ! ここが?まるで様がわりわりです。防風林のあいだを国道がはしっているのですが、そこは記憶とおなじです。ちがうのは、海岸までの距離です。まるでせまい。いくら幼児のころだったから大きく感じたとしても、こんなにちっちゃな砂浜じゃなかったのに。第一、海の家がないんです。いや、それを設置するスペースがないんです。それに、砂浜にあった散髪屋がない! 野球中継で大騒ぎしていた大人たちがいたのに。八百屋がないと、スイカが買えないじゃないか! それにそれに、あの岩山はどこ? トンボロ現象で、干潮時に岩山までの道がうまれたはずですぞ。ここじゃなかったのか、でもここしか考えられないんです。兄がそういったのだから。兄がまちがえるはずはないんです。
 話をつづけましょう。 病院、いや診療所だったでしょうか。母が入院していた病室の窓から、大海原が見わたせたんです。ガタガタと音を立たせて窓を開けると、あの海の香りがはいってきました。お盆の前後だったと思うのですが、母が入院したのは。といっても、わたしには知らされていませんでした。あの頃は父は早朝から出かけていましたし、母もまた「お化粧教室」でもって連日出かけていました。ですので、当たり前のこととおもっていたのです。ただひとつ、いつもはいる兄がいないことをのぞけば。
いつもいつも金魚のフンのように後を追いかけまわしていたんです、兄の。うっとおしかったとおもいますよ、実のところは。父親からの厳命なので、やむなく、しかたなくといったところでしょう。そしてその日に、わたしにとっては生き死にに関わる大事件がおきたのです。トンボロ現象によって浜辺と岩山とが陸つづきとなり、あるいてわたったのです。そこには兄と地元の少年たちとで、よく出かけていました。満潮時にはけっこうな深さとなる場所で、魚がたくさんいるわけです。わたし以外の少年たちは、その海につぎつぎに飛びこんでいきます。
いつもいつも金魚のフンのように後を追いかけまわしていたんです、兄の。うっとおしかったとおもいますよ、実のところは。父親からの厳命なので、やむなく、しかたなくといったところでしょう。そしてその日に、わたしにとっては生き死にに関わる大事件がおきたのです。トンボロ現象によって浜辺と岩だらけの小島とが陸つづきとなり、あるいてわたったのです。そこには兄と地元の少年たちとで、よく出かけていました。満潮時にはけっこうな深さとなる場所で、魚がたくさんいるわけです。わたし以外の少年たちは、その海につぎつぎに飛びこんでいきます。
そこにひとりで行ったわけです。そのときにその場所で、どんな遊びをしたのか、まったく覚えていません。ただ帰る段になると、トンボロ現象が終わっているんです。浜辺につながる道が海にしずんでいるんです。絶海の孤島と化すわけですよ。いや実際はちがいますよ。距離てきには、おそらく100メートルていどでしょうから。ですがあのときのわたしには、絶望てきな遠さなわけです。結果としてわたしがいま、こうやってお話しをできているわけですから、生還はできたんですがね。その戻り方がね、ちょっと……。まあその話はまたべつの機会に――すでに「せからしか!」という作品に仕上げていますが――ということで。

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