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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜 (二百) 

2022年03月01日 外部ブログ記事
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 いや武蔵ばかりではない、実のところは小夜子にも分からないのだ。いや、ひとつは分かっている。正三に対する不実さを認めたくないのだ。しかしそれだけではない。まだ他のなにかが小夜子を苦しめている。 武蔵に、処女を与えてしまった。いくら新時代の女を自認する小夜子といえども、肌を許すことの重大さは認識している。いまさら他の男に嫁ぐことできない。それは分かっている。しかしそれでも正三の元に飛び込むかもしれない。世間の聞こえを気にする小夜子ではない。“こんなに世話になったんだもの、仕方のないことよ。それに、お父さんの借金まで肩代わりしてくれてたんだし。それに正三さんなら何も言わないわよ。許してくれるわ、きっと”
「約束する、小夜子。不自由な思いは絶対にさせんから。もちろん茂作さんにもだ。な、だから俺の嫁さんになれ。アメリカさん相手の商売で、俺に力を貸してくれ。小夜、、、」 武蔵のことばをさえぎる小夜子。思い浮かべた正三が、次第に消えていく。眼前の武蔵が、小夜子にぐっとせまりくる。顔を背けても、すぐに武蔵が眼前にせまる。「力を貸してくれ、ですって。よくもそんなことを。タケゾーに処女を奪われたから、もう正三さんのお嫁さんにはなれないわ。そうね、タケゾーに英会話は無理でしょうしね」
 傲然とした表情で武蔵に向かい、さげすむように見すえるとことばをつづけた。「いいわ、いいわよ。なってあげる、タケゾーのお嫁さんに。そしてタケゾーの会社のお手伝いをしてあげる」 懇願の体をとる武蔵に、小夜子の気持ちもおちつきをとりもどした。 武蔵に請われてのこと、そうした儀式にもにた今夜のさわぎでもってようやく小夜子に覚悟ができた。けじめがついた。
 武蔵に抱かれ目をとじて、されるがままの小夜子。ざらついていた心が、しだいに滑らかさをとりもどしていく。しかしひとりになると、小夜子をなじる声に悩まされる。小夜子の心の中で、まだけじめのつかぬことがある。“正三さんに会わなくちゃ。はっきりさせなくちゃだめなの。どうしてはがきの一枚もくれないのか、問いつめなくちゃ。”“違うわ、そうじゃない。正三さんに宣告してあげなくちゃ。いつまでもあたしを待たれても、もうあたしは。そう、そうよ。あたしのことは、諦めてもらわなくちゃならないのよ”

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