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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜(百三十三) 

2021年09月09日 外部ブログ記事
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「さ、降りるぞ」
 武蔵の呼びかけに、夢想から引き戻された小夜子が「えっ、は、はい」と、らしからぬ声を挙げて立ち上がった。
素直な返事など、小夜子には似つかわしくない。
「勝手に降りたらいいわ、あたしはまだ乗っていたいの」。
天邪鬼な性格の小夜子が発するのはこうだろうと想像していた武蔵には、面食らう返事だった。
「どうした? 今日は変だぞ、小夜子。まだ心配事でもあるのか?」
「何でもない」。それでも、力ない声で答える小夜子だ。

 半分ほどの乗客たちが一斉に降りていく。
お先にどうぞと手を動かす武蔵に対して、「失礼」「お先に」といった言葉がかけられていく。
大人の風格を漂わせる武蔵の振る舞いが、小夜子には誇らしく感じられる。
が、先陣を切ってバスから降りたいとも思う小夜子でもあり、後回しにされているー小夜子を一番だと遇してくれる武蔵らしからぬ行動に、不満の思いも湧いてきた。

「さあ、着いたぞ。あの百貨店だ」
 武蔵が指指す先には、あの、小夜子の人生を変えたと言っても過言ではない、あの百貨店があった。
「えっ! あの百貨店?」
「嫌か? だったら他の所にするか?」
「ううん、良い! あそこで良い。ううん、あそこじゃなきゃダメ!」
 顔を輝かせて言う、小夜子だった。
「なんだなんだ、知ってるデパートか?」
「何でもない!」
 隠す必要もないことなのに、何故か口をつぐんでしまった。

「さあ、着いたぞ。あの百貨店だ」
 武蔵が指指す先には、あの、小夜子の人生を変えたと言っても過言ではない、あの百貨店があった。
「えっ! あの百貨店?」
「嫌か? だったら他の所にするか?」
「ううん、良い! あそこで良い。ううん、あそこじゃなきゃダメ!」
 顔を輝かせて言う、小夜子だった。
「なんだなんだ、知ってるデパートか?」
「何でもない!」
 隠す必要もないことなのに、何故か口をつぐんでしまった。

 懐かしい場所だった。思えばここから、小夜子の人生が始まったようなものだ。
アナスターシアとの出会いが、今の小夜子の全てになっている。
「小夜子、何が欲しい? 服か? 帽子か?」
「そうねえ。今日はね、靴。それと、バッグだわね」
「靴だったら、着物用に草履を見て来い。それからバッグもな。外商の高井に来させるから、相談しろ」
「ええっ! また、どこかに行っちゃうの?」
「おいおい、分かってるだろうが。俺は人込みがダメなんだ」
「でも…」
「心細いのか? 待ってろ、すぐに高井を来させるから」

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