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敏洋’s 昭和の恋物語り
水たまりの中の青空 (光子の言い分:三)
2021年05月27日
テーマ:テーマ無し
ではそこでのわたくし、「人のこころを失ってしまったわたくしでございます。
まさに、武蔵さまが仰った地獄を見ました」と申し上げた、わたくしのことでございます。
好いた殿方に裏切られた、それだけでも女にとっては十分に地獄ではございます。
ですが、まだ入り口に立っただけのことでございました。
先ほど申し上げましたが、料理旅館という体をとってはおりますが、その実態は売春宿に他なりません。
まあ、高級という冠がつくやもしれませんが。
さかのぼりますれば、江戸の世において旅籠には飯盛り女という者がおりましたこと、殆どの方はお聞き及びと存じます。
その通りでございます。
ただ、一応、仲居の方にも選択権があるとか。
どうしても気に入らぬ客ならば断っても良いとのこと。
但しその場合には、そのお客さまの一晩のお遊び代を負担せねばならぬ決まりだそうで。
それがまたとんでもなくお高くて、何人も断り続けると一生を費やしても返せぬような額になりますとか。
ですので、皆が皆、泣く泣くといったことでございます。
わたくしですか? 当初こそどなたとでも、と受け入れておりました。
正直のところ、三郎さんに見捨てられた折には、もうわたくしは死んでおりましたし。
殿方がお使いになるおことば「やけのやんぱち」そのものでございましたから。
ですが三ヶ月経ちましたでしょうか、堕ちたわたくしに光が差し込んで参りましたのは。
淡いそして今にも、ふっと漏らしたため息一つで消え入りそうな光ではありましたが、差し込んだ参ったのでございます。
「ちっとも不幸な女に感じられない」。
そうでございますね、正直あの時期のわたくしはわたくしではない、そう思っております。
まったくの別人だと、己に言い聞かせております。
口にするのも憚られる様のわたくしでございました。
どうぞご了解くださいましな。
勘弁ならぬと仰るのでしたら、わたくしは一旦下がらせていただきます。
あなたさま。どうぞお好きなように、皆さま方のご納得がいかれるように、お話しくださいまし。
(無理からぬ事ですよ、それも。書き手のわたしですら、想像するだけで薄ら寒さを覚えます。
それに、何とかコードに引っかかるおそれもありますので、サラリといきましょうか。
まあ確かに、ここで大きく泣き崩れるのが女性だと思えますが、たとえそれが嘘泣きであり女性の演技だったとしても、男どもには到底見抜けません。
いえいえ別に、そうした女性ばかりだということではありませんが。どうにも私見が入りすぎてしまいました。
彼女、光子さんに戻りましょう。
当時は別として、現在はしっかりと女将ぎ業をこなしている、立ち上がった女性です。
これほどに気丈に振る舞う女性です、女傑と称してもいいのじゃないでだしょうか
――おっと、こういう物言いが考え方が、女将である光子さんのもっとも忌み嫌うものでしょうがね)
「身体は売っても、心は売らぬ」ならぬ「こころは売っても、からだは売らぬ」。
他の仲居とはまるで正反対の行動を取った光子だった。
当初こそ、三郎が残した三水閣に対する借金を減らすべく、どんな相手であろうとも拒否することはなかった。
とにかく早く抜け出したい、そんな思いで一杯だった。
他にいる仲居たちの侮蔑的ことばもすべて受け入れて、がむしゃらに動き続けた。
明水館で教えられた行儀作法をすべて投げ捨てて、お膳の汁をこぼすこともかまわず廊下を走り回り、部屋に入る折も足で開けては客のひんしゅくを買ったりした。
ゆったりとした時間を過ごしたいとやってきた客に対しても、何かと杯を重ねさせて早い酔いを迎えさせた。
「あの女の酌では落ち着いて飲むこともできない」と苦情が舞い込むが、まるで意に介さない。
どころか、着物の裾をたくし上げて腰巻きを見せびらかしながら入室することもあった。
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