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敏洋’s 昭和の恋物語り

 歴史異聞  第一章 『 我が名は、ムサシなり!』(十一)闘い終えて 

2020年07月13日 外部ブログ記事
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 口ごもりながらも納得のいかぬムサシに対し、
「ムサシさま。あなたさまの剣技は、ムサシさまならではのものでございます。
並みのお侍ではご無理でございましょう。
さらに申し上げますれば、宍戸梅軒さまとの試合においては、お刀を投げ捨てられたとか。
武士の魂であるお刀をです。

これ一つ取りましても、『武士たる者の所行か』となりまする。
そして吉岡一門との決闘における二刀流然り、更にはこのたびの櫂を削られての木剣然りでございます。
戦国の世ならばいざ知らず、太平の世に向かいつつあるこのご時世でごさいます。
どうぞお察しを」
 と、番頭が深々と頭を下げた。

「いやしかし、佐々木小次郎を倒せば良いのではなかったのか。
ならば、どうすれば……。まともに闘って勝てる相手でもなし」
 絞り出すような小声のムサシに、番頭は頭を下げるだけだった。
「あの浜に戻れというのか! ごんすけに戻れと言うのか。またしても『南蛮人! 南蛮人!』と後ろ指を差されねばならぬのか…。
それとも長崎とかいう地にて、言葉も分からぬ南蛮人を頼れとでも言うのか……」

 呆然と立ち尽くすムサシに対して憐憫の表情を見せつつも、ムサシがガックリと肩を落とし首をうなだれた時には、鼻を鳴らす番頭だった。
「それでは、」と体を曲げて木戸内に入る番頭に対し、恨み辛みをどれ程並べようとも致し方なきことと、諦めざるを得ないムサシだった。
しかし木戸口が閉じられてもすぐには立ち去る気力が湧かず、暫くの間立ちすくんでいた。
と、信じられぬ会話が聞こえた。
「旦那さま、終わりましてございます。
それにしても、哀れな男でございますな。
当初から士官の道など有りませぬのに。ただただ小次郎さまを…。
怪我でもさせられればということが、まさかのことに」
「これこれ、番頭さん。滅多なことは口にせぬように」

 わなわなと拳が震え怒り心頭に走るムサシだったが、袖に入れられた小判の重みがムサシの心を重くした。 
(了)

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