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敏洋’s 昭和の恋物語り

歴史異聞  第一章 『 我が名は、ムサシなり!』 (四)山寺にて 

2020年05月10日 外部ブログ記事
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 山寺にて。
 山腹の木々はすでに紅葉している。その山麓に赤茶けた瓦屋根でこつ然と姿を現す古びた山寺が、これからのごんすけを創り出す――僧侶の思い(いつか南蛮人の元に返してやろう)を遂げられる地になるはずだった。
幸いにも、その寺には南蛮人との交易をしている商人が度々訪れていると聞いていた。
二、三年ほどを寺で修行させた後には、その商人とごんすけを会わせてやろうと目論んでもいる。
ごんすけが望めば、その商人の元に送り出すこともありうる。

 ひとり合点しながら頷きつつ歩を進める僧侶の表情は柔和だ。
その後ろを、これからの行く末に不安を感じずにはいられないごんすけがついて行く。
口をへの字に結び、時折鼻水をすすりながら、目は僧侶の背中を凝視している。
傷だらけの裸足でもって、一歩一歩をしっかりと大地を踏みしめて行く。 

 辺りは暗く、月明かりだけが頼りだ。
家出した当初は不安な思いが募り、一陣の風に身をすくませ、カサカサという木の葉が立てる音やら草花が揺れる音に身を縮込ませていたごんすけが、今はしっかりとした足取りで歩いている。
「見えるか、ごんすけ。
山のふもとに灯りが見えるであろう。
あれが、これからお前が世話になる寺じゃ」

 僧侶の指さす先に、確かに寺があった。
本堂を取り囲む塀があり、その他に二、三のお世辞にも建物とは呼べぬような粗末な小屋も見える。
しかしそのどれもが、ごんすけの暮らしていた村でのどの家よりも立派なものに見えた。
ただ一軒、船主の家を除いては。

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