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敏洋’s 昭和の恋物語り

歴史異聞  第一章 『 我が名は、ムサシなり!』 (三)僧侶 

2020年05月07日 外部ブログ記事
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最近、立ち読みして下さる方たちが増えています。
学校の休校が長引いているせいかと考えました。
このまま通常に戻ろうかと思ったのですが、新しいお客さんが増えたようですし、在庫はないかと探してみました。
大人向けの作品はあったのですが、ティーン向けとはいえぬ作品ばかりでしたので、少し前に上げた作品を再度上げることにしました。
何度か書き直した作品で、一応は最終版としています。
興味を持たれた方は、再度読んでみて下さい。
苦心の跡をくんでいただけるものと思いますが。
−−−−−
山中にて。
その日は風のひどい日で波も高く、西の方から黒い雲が近づいてきている。
浜から見る山は雨になっているのか、煙った状態になっていた。
「やまにはぜったいにはいるな。とてつもないけものがいっぱいおる、おとなだってはいらんぞ」
 口酸っぱく言い聞かされたごんすけには、山中に逃げ込むのが助かる唯一の道だと思えて、うっそうと茂った樹木の間を―けもの道を走った。
時折木の根やら草に足を取られそうになりながらも、走り続けた。

 ガサガサと音がする度に、生きた心地がしない。
地面に伏してじっと辺りを伺い、風のいたずらだと分かるまで、じっと伏せた。
そんなことを幾度か繰り返す内に、辺りが次第に暮れてきた。
どこをどう歩けば隣村のある麓にたどり着けるのか、さっぱり見当が付かない。
来た道を戻ろうにも、それすら分からなくなっていた。

 今さらながら山の中に逃げ込んだことを後悔した。
あのまま浜辺沿いに進み、大きな川を渡りきってしまえば諦めてくれたのではないのか、そんな思いが消えなかった。
ひくひくとしゃくり上げる自分を、泣いても誰も助けてくれるもんかと叱りつけるが、涙は止まらない。山を下りればいつか麓に着くんだと己に言い聞かせながら、ただただ歩き続けた。

「こっちゃに来い」
「ほれほれ、水がほしくないか」
「お腹空いたろ、お食べ」
 そんな声が、風に乗って聞こえる気がする。
右から左からと、あちこちから聞こえてくる気がする。

そのたびに声のする方向を見るが、木々が風に揺れているだけだ。
うっすらとした月明かりの下、目をこらしてみるが、木々の間に見えるのは、同じような木々だけだ。
まっすぐに伸びたそれは、見上げるごんすけを拒絶するがごとくに、多くの葉っぱで隠している。
その隙間から見える星空は、近くにも見えるし遠くにも見える。

「おとお……」
 思わずこぼした声は、暗闇の中に消えていく。
「おとおー!」
 思い切り叫んだときに、ごんすけの背を叩くものがあった。
心の臓がとまるほどの驚きを感じ、思わず頭を抱えてしゃがみ込んだ。

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