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敏洋’s 昭和の恋物語り

歴史異聞  第一章 『 我が名は、ムサシなり!』 (二)ごんすけじゃ! 

2020年05月05日 外部ブログ記事
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最近、立ち読みして下さる方たちが増えています。
学校の休校が長引いているせいかと考えました。
このまま通常に戻ろうかと思ったのですが、新しいお客さんが増えたようですし、在庫はないかと探してみました。
大人向けの作品はあったのですが、ティーン向けとはいえぬ作品ばかりでしたので、少し前に上げた作品を再度上げることにしました。
何度か書き直した作品で、一応は最終版としています。
興味を持たれた方は、再度読んでみて下さい。
苦心の跡をくんでいただけるものと思いますが。
−−−−−
 ごんすけ七歳の折だった。
頭から血を流して戻ったごんすけが、ごんたに詰め寄った。
「おら、もうがまんできねえ。あいつらにしかえしする」

 聞き流そうとしたごんただったが、囲炉裏の灯りで浮かび上がるごんすけのぎらぎらとした目を見て「しんぼうだ、しんぼうしろ。そんなことをしたらこのむらにおられんようになる。
なあに、そのうちにあいつらもやめるさ。
おとうからもいってやる。
それより、あすはりょうにでねえか。
うみでおもいっきりさけべば、みいんなわすれちまうぞ」と、慰めにならないと知りつつ、声をかけた。

 水瓶からすくい上げた水を一気に飲み干したあと、ごんすけが吠えた。
「こんやのめしはなんだ。さかなかなっぱじるか? 
はらいっぱいくってみてえもんだ」
 囲炉裏端で網の修理に精を出すごんたに噛みついた。
「ぜいたくいうでねえ! まいにちたべられるだけでもありがてえとおもえ」
 ごんた自身が満腹感を知らずに生きてきた。
当たり前のことと思っていた。

 翌日、ごんすけの姿が消えた。そして浜の岩陰で泣き叫ぶ子どもたちが見つかった。
「ぶっといまるたでなぐったそうじゃねえか。
むかしのおんをわすれるなんぞ、ひとじゃねえ!」
 ごんたを取り囲んだ村人から口々にののしられて、とうとうごんたが切れた。

「おおぜいでいじめるのはかまわんのか! 
なんばんじんのこじゃといしをなげつけるのはかまわんのか! 
おん? おんじゃと。
よういうてくれたの。ちちのかわりにさかなをよこせいうたんはだれじゃ。
あめのひどいひにもりょうをさせたのはだれじゃ」

「いいか。とにかく、ごんすけをつれてこい。ふなぬしさんにきいてもらうから」
 捨て台詞を残して村人が去ると、「つれてなんぞいけるか。ごんすけはもうもどってこんわ」と、土間に下りて水瓶から水をひしゃくですくった。
その水瓶の水面に映ったごんたの目から大粒の涙がしたたり落ちた。

「ゆるしてくれよ。おとうがいくじなしなばっかりに、おまえにはつらいめばっかりあわせちまった」

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