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敏洋’s 昭和の恋物語り

歴史異聞  第一章 『 我が名は、ムサシなり!』 (一)「ムサシなり」 

2020年05月01日 外部ブログ記事
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大きく頷きながら、げんたが大男の目をじっとにらみつけた。
離れていたいた子どもたちが近寄ってきて、口々に「そんなのできっこねえ」「すきがねえし、くわだってねえ」「おやにみつかったらとりあげられてしまう」と、大男に叫んだ。
にやりと笑みを浮かべながら大男の言葉が続いた。

「お前たちも手伝ってやれ。田畑を耕せ。
山の中でもどこでもいい。お天道さまが見えるところなら、何とかなるもんだ。
道具だと? 手があるだろうが」

 俺の手を見ろとばかりに突き出された大男の節くれだった手に、げんたがそっと触った。
「かてえ! すっげえかてえぞ。いしみたいだぞ」
 憎悪に近い光を帯びていた目が、みるみる憧れの色に変わった。

「おめえら、みんなではたをたがやすぞ。
どうぐはおらがつくる。で、それからどうするんだ。
からだがでかくなったらつよいのか」

 街道の中央に陣取る子どもたちに、行き交う旅人たちが迷惑千万だと怒りの視線を注いでいる。
中には舌打ちをして横をすり抜ける者もいた。
しかしげんたを中心にして大男を取り囲んだ子どもたちには、げんたの言葉だけが聞こえていた。

「走れ、毎日二里を走れ。それから、丸太を頭の上から振り下ろせ」
 大男が棍棒のような太い腕を頭上から振り下ろすたびに、ブンブンと音がする。
げんたも真似て腕を振り下ろすが、何の音もしない。
大男が振り下ろすたびに子どもたちの顔に風が吹き付けるが、枯れ枝のようなげんたの腕ではそよともない。

「一年だ。一年経てば、お前は強くなっている」
 その言葉を残して、大男は立ち去った。

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