ほっこり

不老不死の泉 

2020年04月16日 ナビトモブログ記事
テーマ:小咄



○ 不老不死の泉(小話)



時は定かではないが遙かなる昔、一人の男が当時秘境と呼ばれる山岳地帯を歩いていた。
生い茂った熊笹を掻き分け、渓流を渡り、崖を登ると言う過酷でつらい一人旅であった。

この男がそこまでして秘境を巡るのには訳があった。

彼はとある地方豪族に仕える側近であり、首領からの重要な使命を申し渡されていたのである。
当時としては高齢者の五十を過ぎた首領が不治の病に罹り、床に伏していた。当時、流行り病が各地に広がり、多くの住民が命を落とす、いわゆる、疫病の蔓延が深刻だった。

彼の地に不老不死や無病息災に効く泉がいくつかあると聞いた首領が男にその探索を命じたのであった。
泉に着いたならよくよく考えて、男が一番良しと判断した泉の水を持ち帰れと言う指示が与えられていた。

勿論、病が治り、老不死を手に入れることや領民の命を救うことが目的であり、首領から念押しをされていた。

時間に余裕はない。
男は必死になってその泉を探し回った。
そして、難行苦行の末、それらしき所を探し当てた。

男の姿は辺境の高山が連なる所にあった。
ひたすら周りの景色が見えぬ広葉樹の森に覆われた急斜面を登り、やがて、高所に出ると背の低いはい松と砂地が広がる高みに出た。
その先にはなだらかな湿原が広がっていて、湿原を抜けるとお花畑があり、その中に等間隔で小さな泉が並んでいたのである。

男はやっと見つけた安堵感からか、腰を下ろし座り込んでしまった。やおら腰に下げた竹筒を手に取ると水を口にした。
汗を拭うとあたりの様子をしっかりと見回した。

四つの泉があって、それぞれに古ぼけた高札が立っているではないか。男は不思議に思った。誰が立てたのか。何故、こんな所に高札があるのだろうか。しかし、深くは考えなかった。

大きな高札が一つとそれぞれの泉の前に小さなものが立っていた。高札の板は朽ちかけ、文字はかすれかけていたが何とか読めた。泉は丈夫な縄にて四方を結界で囲まれており、大きな高札はその外に立っている。


「ここにある四つの泉はそれぞれが霊験あらたかなる泉である
 その霊力は衆生すべての願いを叶え給う
 
 『不老の泉』『不死の泉』『若返りの泉』『無病の泉』


一、いずれか一つの泉は毒を消し病をも治す

一、混ぜ方を誤ると毒になる

一、混ぜ方により好ましくない力が消える

一、泉の水はどれも一回汲めば枯れる

一、ひとたび結界を出れば泉は全て枯れる

一、枯れた泉はいつ湧くのかわからぬ


不老の泉〜今の状態のままで老けない

不死の泉〜今の状態のままで死なない

若返りの泉〜いくつまで若返るか定かでない

普通の水〜美味しいが効能は定かでない

誤った判断することなかれ

よく考えよ」


大きな高札にはこの様な意味の言葉が当時の文体で書かれていた。そして、池の前にはある小さな高札にはそれぞれの泉の名前が書かれていたのである。



男は悩んだ。

お館様にどの泉の水を持って帰るべきか?

この内の一つだけが病をも治すのが、混ぜ方を間違えると毒になってしまう。しかも、汲めるのは一回だけだから難儀だ。

しかし、これは運次第。

仮に「不老の泉」だけを選び、それが的中で病が治ったとしても、今の歳のまま顔や姿はそのままで、いずれ死んでしまう。いやまてよ、混ぜ方次第で、「今の状態のまま」という好ましくない力が消えれば、健康なまま老いずにすむということか。

「不死の泉」を飲み不死身となっても、病身のまま死なない可能性がある。病が治ったとしても、どんどん老けていきながら永遠の命を得ることになってしまう。

「若返りの泉」を飲み、もし子供、いや、赤子まで若返ったら大変だ。しかも、病身のままだったらそれこそ地獄だ。若返りは考えものか。

「普通の泉」は美味しいだけか?効き目がわからんのが難儀だ。
肌が綺麗になるとか、内臓の働きがよくなるのかもしらぬ。

どれもこれも中途半端だ。不老と不死の水を混ぜることは出来るが毒に変われば不老不死どころか死んでしまう。いや、混ぜずに一つだけ選んで汲めばいいのだろうか?調合か否か?

男は困り果てた。

一昼夜考え抜いた末、決断を下し、山を降りた。

男は無事、領地に帰還しいまだ病身の首領の前に参上した。
そして、これまでの経緯を詳しく話した。

果たして、男はどの泉の水を選び持ち帰ったのか?

はたまた、水を持ち帰るのを断念したのか?

首領の体は治癒したのか、あるいは不老不死となったのか?

この結末はお時間あれば、暇つぶしのつもりで、考えてください

何が最善の方法でしょうか?

男、首領その他の立場になって考えてください。


首領は善政で知られ、民からは慕われていました。

ちなみに、高札はかつて修験者が立てたものです。

果たして不老不死とは幸せなことなのか?天からこの様子を見ている神様か仏様を登場させようかとも考えましたが、あえて、私の考えを書きませんでした。落語的なおちも考えました。

あなたの出した答えが正解です。





※ 昨日の「今は幕末?」に拍手、コメント頂いた皆様、ありがとうございました。一律10万円給付にほぼ決まったようですね。1ヶ月のみでは効果が薄いかもしれません。とりあえずは早く給付し、困窮世帯には追加支援すべきでしょう。すべての施策で手続きの簡素化とスピードが望まれます。



※ 中国で命がけの日常的な5つのこと
https://www.youtube.com/watch?v=O1qFxU986DU
地溝油、恐いですね。こんな食用油が流通しているなんて信じられません。どれもが日本では有り得ません。



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宏子さんへ〜中国と言えば

ぼてふりさん

嫌な話ばかりです。

こんな国家になる手助けをしたのが日本とアメリカ
まさか、こんなになるとは想像していませんでした。
私が穂慰問した35年間など日本の昭和30年代の感じで高層ビルなんかありませんでした。
走っているのは自転車ばかりでした。車は少なかった。

中国製の食品は買わないよに決めています。

2020/04/16 20:21:16

中国

宏子さん

怖い国
子供の頃共産国は怖いと思っていました。
コロナも怖い
じっとしていられない人が多いですね

2020/04/16 19:25:53

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