ぼてふりさんのプロフィールへ

ぼてふりさんのブログトップへ

ぼてふりさんの画像カレンダーへ

最新の記事

• 
  南十字星の恋�C
• 
  日暮れのカフェ
• 
  漆黒の刺客
• 
  南十字星の恋�B〜改訂版
• 
  すずめのお宿繁盛記

一覧を見る>>

テーマ

• 小咄 （ 96 ）
• 男もすなる日記 （ 192 ）
• 音楽 （ 17 ）

カレンダー

月別

• 2020年06 月（ 2 ）
• 2020年05 月（ 13 ）
• 2020年04 月（ 29 ）
• 2020年03 月（ 16 ）
• 2019年12 月（ 5 ）
• 2019年10 月（ 7 ）
• 2019年09 月（ 11 ）
• 2019年08 月（ 31 ）
• 2019年07 月（ 27 ）
• 2019年06 月（ 4 ）
• 2019年05 月（ 8 ）
• 2019年04 月（ 4 ）
• 2019年03 月（ 1 ）
• 2019年02 月（ 6 ）
• 2019年01 月（ 7 ）
• 2018年12 月（ 6 ）
• 2018年11 月（ 7 ）
• 2018年10 月（ 23 ）
• 2018年09 月（ 12 ）
• 2018年08 月（ 25 ）
• 2018年07 月（ 11 ）
• 2018年06 月（ 8 ）
• 2018年05 月（ 14 ）
• 2018年04 月（ 24 ）
• 2018年03 月（ 4 ）

愛があれば（小話1話）　

2020年04月14日
テーマ：小咄

○　愛があれば・・・（どんな苦難だって）



女房が鍋をかかえて茶の間へ入ってきた。
私は思わず、ごく自然に、何も考えずにつぶやいてしまった。

「お〜、今夜の食事はちゃんこ鍋かい？」

この言葉がつまづきの発端となった。

「私の体型を見て言ったでしょう！しゃぶしゃぶよ。心の中で私のことをおデブだと思ってるから、そんな言葉がでてくるのよ。これでも頑張ってダイエットしてるんだからね。」

「いや、そんなつもりでは・・」

「鹿児島産の高級黒毛豚のしゃぶしゃぶです。」

「共喰い？」

余計なことを口走ってしまい、とことん口撃を受けてしまった。
火縄銃対テポドンの戦いでは勝負にならぬ。

それでも、その場をごまかし仲良く夕食を楽しむことができた。
そして、食後の団欒のひと時。

女房がデパートの大きな紙袋を持ってやってきた。

「今日、新作の春物のシャツとパンツ、それに合わせてベルトとそれからバスタオルなんかも買ってきたのよ。見て！あなた、コーディネート抜群でしょう」

よせばいいのに、立ったままで黒の太いベルトを締めてみせた。
その後がいけなかった。２つ折にしたバスタオルをおへその辺りで広げて見せたのである。

「お母さん、化粧回しみたいだな。ははは〜」

と、言おうとしかけたが思いとどまった。

今まで上機嫌だった顔がみるみる赤ら顔へと変化し、怒り狂うのがわかっているからだ。逆鱗に触れるとすぐさま大魔神に変身する。あの太い腕から繰り出す張り手を喰らったらイチコロだ。

「それとね、今月入会するスポーツジム用のトレーニング・ウエアも買ったのよ。美容と健康、ダイエットの為に頑張るわよ」

「いいことじゃないか。結婚当時のお前はすらっとした美人でさ、社内では『総務部小町』と呼ばれて男性社員に人気があったものね。まさに『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花』そのものだったよ。今でもお前は美しいよ」

「ありがとう。あなたは私に一目惚れして、猛アタックしてきたものね。いつまでも女らしく美しくありたいのよ。少しおデブさんになったけど、きっとあの頃に戻れるわよ。私、頑張る。」

立てば横綱、座れば大仏、歩く姿は隣のトトロが現状なのだが、一種の幸せ太りだから、いいことかもしれない。
ここまで二人で力を合わせて生きてきた。
これからもそうだ。


だが、しかし、今夜も恐怖の睡眠タイムが始まる。

今でも仲良くダブルベッドで寝ている。
何度も妻に交渉して寝る側を変えているのだが効果がない。

あ〜あ、さて、寝るか。


そして、深夜


「う〜、苦しい」

体にのしかかる重さで目覚めた。
女房の太ももがお腹の上にで〜んと乗っかっている。
掛け布団はベッドの下に落ちている。
強烈な蹴返しによるものだ。
歯ぎしりをしたかと思えば、大きく口を開けてよだれを垂らしている。百年の恋が何度醒めたことか。

と、その時だった

狙いすましたように左腕のラリアットがのど仏に決まった。

「うっ・・・」

一瞬、息が止まり、目の前が真っ白になった。

昨夜は右腕のラリアットを喰らったので、今夜は寝る側を変わってもらったばっかりだが無敵の女房には関係ない。

寝姿が２種類ある。

雲竜型と不知火型だ。

俺にとってベッドインは寝所入りにあらず、土俵入りである。
もしくは、リング・インとも言える。
コーナーポストの無い深夜の格闘リングと呼ぶにふさわしい。
もろに寝返り打たれて、押さえ込まれたことが何度もある。
突き押しも厳しい。


そして、翌朝

「あなた、良く眠れた？顔色、今朝も悪いわよ」

「実はね、かくかくしかじか」

「ごめんなさいね。一度寝ると雷が鳴っても地震が来ても起きないからね。昔からそうだから、仕方ないのよ」

「昨夜は何度もベッドから落ちそうになったよ」

「うふふ、ホントは転げ落ちたんじゃないの？」

「いや、残った残った」


お後が宜しいようで・・



♪　赤い花白い花〜山本潤子
（若かりし頃の貴重なスタジオ・ライブ映像）
https://www.youtube.com/watch?v=tY0f1_-JdqI
35年前、中国への航海の時、同じ京都府からの参加者の女性に教えたら、すごく気に入ってくれた曲です。近畿青年洋上大学で１ヶ月の船旅でした。
素朴ないい曲です。


※　昨日の「つれづれ日記」に拍手・コメント頂いた皆様、ありがとうございました。まだ、頭痛があってふらふらしていますが咳がないので様子見しています。感染者と思って行動するのも大切だと思っています。

コメントをするにはログインが必要です

掲載されている画像

• 

  南十字星の恋�C

• 

  南十字星の恋�@〜改訂編

• 

  南十字星の恋�B〜改訂版

• 

  すずめのお宿繁盛記

• 

  南十字星の恋�A〜改訂版

• 

  イワカガミ