花かるた

一途な犬のお話 

2020年02月15日 ナビトモブログ記事
テーマ:創作

フカフカと広がっている緑の芝生
見上げれば お日様が照る青空を切って
黄色いボールが飛んでいく

ボールを追って僕は走った
風を感じながら全速力で

体中の筋肉が余さず躍動し
永遠に走り続けていられるような高揚感

芝生に転がったボールをくわえて
また全速力で駆け戻る

ご主人様が大きく笑って僕を待っている
その足元にボールを落とすと
彼は大きな手で僕の頭を沢山なでてくれる

もう一度行って来い ほ〜ら 
もう一度行けーーーそれっ!

僕は何度も走る 
風をきり全速力で

溢れるような幸福感が体中にみなぎって
僕は歓び勇んで 大きく咆えた





寒さで目が覚めた
・・・夢を見ていたようだ

僕のご主人様はどこだろう
辺りを見渡し匂いを嗅いでみる



昨日はとても怖い思いをしたのだった
知らない人たちが大きな網を持って
近づいてきた 真剣な目が怖い

そして彼らには 微かだが
同じ犬の恐怖の汗の匂いがした

僕は急いで逃げた
大きな網に触れないようにしなければ

走るのなら負けないぞ!

知らない家の植え込みに飛び込んで
家の床下を脱兎のごとく駆け抜けた

走って走って転がるように駆け込んだのは
古い神社の祠の裏だった
破れた板が重ねてあるその下にもぐった

ここで少し休もう 体がブルブル震え
心臓がドキドキしていた

ご主人様に会いたかった
あの大きな腕の中に飛び込んで安心したかった
あの芝生で黄色いボールを捕りに行きたかった

ク〜ン ク〜ンと哀しい声が漏れる
そのまま眠ってしまったらしい




・・・寒い・・
土の上はうっすら白くなっていて
破れた板の隙間から チラチラと
小雪が降り込んでいた


お腹がペコペコだけど・・・さあ行こう
ご主人様に「待て!」と言われたあの場所に

今日こそ迎えにきてくれるはずだから
待っていなくては





***YouTubeを見て犬の気持ちを代弁しました**2話**

   https://youtu.be/3ZpcNAGpdks

   https://youtu.be/xSAZo_6zgNw


33-0  拍手をありがとうございました



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