ほっこり

昔話A 

2019年08月01日 ナビトモブログ記事
テーマ:小咄



前夜〜早朝にかけて、思いつきで書き留めた小話です。
出来ばえはともかく2話ご紹介します。(笑)


・・・・・


むかしむかし、ある山里にお爺さんとお婆さんが住んでいました。
米を作り、畑で野菜を育て、山で芝刈り、山菜や木の実を集め、猟をし、川で釣り、家畜も飼っていました。

なんでもござれの、オールマイティーな兼業農家でした。


● ある日、お爺さんは仲良しの浦島爺さんの家に遊びに行きました。

爺「例のお前さんが助けてやったカメなんじゃが、竜宮城から帰ってきてから、会ったのかい?」

浦島爺「竜宮城に行ってから数百年後に帰ってきたから、もう成仏してると思うよ。何せわしの玄孫の玄孫のその又玄孫の代に帰って来たのだからね」

爺「いや〜、あんたの話を聞いてから一度竜宮城に行ってみたくなってね。案内してくれるカメはおらんじゃろうか。浜辺を一緒に探しに行ってくれないかい?」

と言う事で二人はカメを探しに浜辺へと向かいました。

浜辺近くの松原にさしかかった時でした。

波打ち際で若い女たちが泳いだりして、楽しそうに遊んでいるのが見えました。皆、素っ裸です。
松の枝には女たちの衣が掛けられています。

二人はそっと松の幹に隠れてその様子を眺めました。

浦島爺「あれはここの者達じゃない。天女たちだぞ」

爺「おーまいがっ!裸体が眩しい」

浦島爺「白髪頭になっても生きてて良かった。乙女の裸は竜宮城で接待してくれた『喜び組』の裸踊りを見て以来じゃで、嬉しか〜」

爺「わしなんか、ずっと、婆さんのお灸の跡だらけの背中と松白するめに梅干しのお胸しか見てないもんね」

二人は息を呑んで、松の木陰からじっくりと天女たちを観賞しました。

もうこうなるとカメのことなんかすっかり忘れています。

カメ探しに来た二人は結局、

「出歯亀」になったのでした。(続く)



● 米や野菜の収穫で忙しい、とある年のことでした。爺様と婆様は朝早くから夜遅くまで働いていました。

爺「稲刈りは村の衆が手伝ってくれたが、脱穀や畑の野菜の収穫、倉での管理まで二人じゃ大変だな」

婆「畑も耕して肥料もやらんといけないでしょう。倉にはネズミも多いし困りますね。ホント、二人じゃ大変ですよ。お爺さんなんとかなりませんかね」

爺「手が足りんな。今年は何もかも豊作だったから、二人の手には負えん。だれか手を貸してくれんかの」

そんな二人の姿を村の鎮守の神様は見ていました。

翌日、いつもの様にふたりが作業していると、ある一団がやって来ました。

股旅姿〜渡世人風の猫の集団でした。
全部で7匹います。

その中の頭とおぼしきトラ猫が言いました。

「鎮守様のお達しにより、お手伝いに参上しました。野郎共に何なりと仕事を言いつけておくんなさい」

お爺さんとお婆さんは腰が抜けるほど驚きました。

「おい、猫がしゃべったよ」

とまれ、二人は猫たちの好意を喜び、早速、仕事を手分けしてお願いしたのでした。

ネズミを退治する奴、野菜をくわえて運ぶ奴、いのししを猫パンチで追い払う奴など、どの猫も一生懸命に手伝ってくれます。

そして、1ヶ月が過ぎ、作業も一段落しました。

お爺さんはお世話になった猫たちを集めました。

婆「猫さんたち、ホントに有難う。助かりました。ねぇ、お爺さん、何かお礼をしないといけませんね」

爺「そうとも、お礼をしないといけないよ。猫さんたち7匹で一ケ月、朝から晩までの仕事だったから、これでどうじゃろうか?」

そう言うと、お爺さんは紙入れから小判を7枚取り出し、猫たちの前に差し出しました。

猫たちは小判を前にしてきょとんとしました。
全く興味なし。

頭のトラ猫が言いました。

「あっし達に小判なんぞ、いりやせん。お気持ちだ頂いときやす。お礼なら鎮守様にお供えをしてもらえれば宜しいです。お役に立ててよござんした。では、これにて御免蒙ります」

婆「あ、ちょっと待って。みんな、折角だから、これ食べてってね」

7匹は最後のねこまんまを美味しく食べたのでした。

そして、たくさんの「またたび」をお土産にあげたら、猫たちは大喜びしました。

爺「お前さん達7匹はどこの組の猫さんたちなんだい?」

トラ猫「荒野の7匹、と呼ばれる流れ猫です」

何事もなかったかの如く、猫達は去って行きました。

そして、お爺さんとお婆さんはお供え物を持って、鎮守様にお礼に行ったとさ。めでたし、めでたし。


・・・・・


まだ、駄作のストックがあります。続けて放出します。笑えるか笑えないかはわかりません。



♪おもしろ猫特集
https://www.youtube.com/watch?v=0T-wkMjplgU&t=107s

★「昔話〜お爺さんとお婆さん」に拍手、コメント頂いた皆様有難うございました。しばらく、小話投稿が続くと思います。



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モッチャンさんへ

ぼてふりさん

ははは〜いいな!このコメント(笑)

さすが泡まみれ仙人〜ユーモアたっぷり!

皆さん、シニアだから笑われたくない、尊敬されたい、まともな人間と思われたい・・・ばかり。
素直な自己表現をされるモッチャン先輩は私の憧れです!
いいじゃないの、人間だもの・・・!

いつも優しいコメント有難うございます。

毎回、楽しいコメント、カメ首を長くして待っています(笑)

2019/08/02 03:14:44

亀は万年♪

モッチャンさん

ぼてふり様
こんばんは。
私は乙姫さまと泡まみれになりたいですが・・イキ方が・・
亀は竜宮城の使いですね♪
亀は万年、鶴千年♪と言われるように長寿の象徴!
中国では、亀は不老不死の仙人が住む蓬莱山の使いとされ、めでたい動物。

私は亀の頭は持っているので・・もう一つの縁起物として鶴の頭でも探そう?(笑)
そして子猫ちゃんとも泡まみれ♪

亀の頭をなでる♪
https://youtu.be/vTZXdSwc56c
可愛い!長く伸びて気持ちよさそう♪
閲覧は大丈夫(笑)

2019/08/02 00:50:33

めのうさんへ

ぼてふりさん

コメントありがとうございます。

老いたりと言えども、やはり男、天女たちを見て、爺様二人は本能には逆らえなかったのでした。
お気づきの如く、「猫の手も借りたい」「猫に小判」を基に話を作りました。

ネコちゃん達を何匹にしようかと考えた時に「荒野の七人」が浮かびました。

しばらくはこんなお話の投稿が続きます。

2019/08/01 08:43:45

微笑ましいお話

めのうさん

浦島太郎がちょっとスケベ爺になったけど、人間だからしょうがないな。

荒野の七匹かっこいい!

2019/08/01 07:00:33

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