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敏洋’s 昭和の恋物語り
強行軍! 2日間で5ヶ所美術館巡り(二日目)[東京富士美術館](七)
2019年06月02日
テーマ:テーマ無し
さあ、[ロシア美術展]は、今回で最後にしましょう。
ポスターになっていた3点です。
[第九の怒濤]イワン・アイヴァゾフスキー:作
先ずは、この作品です。
ロシア美術を観てみたいと思わせた作品です。
タイトルが良いじゃないですか。
あの、日本人が大好きな「第九」ですから。
=解説=
《第九の怒濤》は、イワン・アイヴァゾフスキーの作品の中で、最も有名で、最も人気の高い作品です。
船乗りの間では、嵐のなか、九番目に来る波は、最も激しく強力で、そして最も破壊的な波であると言い伝えられています。
その九番目の波が刻一刻と迫りつつあります。
数人の人々が船のマストの残骸にしがみつくなか、無情にも荒れ狂う波が彼らに襲い掛かってきます。
そうした危機的な状況のなかにも、希望の光が夜の闇を打ち破ろうとしています。
この絵は、困難に立ち向かう人々の心に、人間、そして生命の勝利への確信を訴えかけてくるのです。
驚いたのは、絵の具の厚みですわ。
波頭の頂上(といっていいのかな?)がですね、ググッと盛り上がっているわけですよ。
こればっかりは、実際の絵を観なければ分かりませんよねえ。
もしも観る機会がありましたら、絶対のお勧めです。
それにね、波の色ですよ。
翡翠ですかね、この薄緑の色は。
吸い込まれそうな感覚に囚われます、ほんとですって。
それにしても、あの太陽はなんなんですかね。
嵐の最中(さなか)なんですよね。
ふと過りました。波頭といえば、あの作品です。
北斎の「神奈川沖浪裏」ですがね。
あの、指にも見える波頭の先っちょですよ。
同様に、荒い波に翻弄される小舟ですが。
片や、富士のお山。片や、太陽。
どちらも、信仰の対象のように思えます。
[大洪水]イワン・アイヴァゾフスキー:作
=解説=
イワン・アイヴァゾフスキーが、1864年に「大洪水(最後の日)」というタイトルで、帝国美術アカデミーの展覧会に出品されると、人々から幅広い支持をえました。1865年にエルミタージュ美術館のロシア・ギャラリーに飾るために、皇帝アレクサンドル2世によって購入され、のちに、新設された皇帝アレクサンドル3世記念ロシア美術館に移管されました。
思い起こされるのが、「ノアの箱舟」でした。
あちらは選良として救われますが、こちらは絶望の淵に立たされていますね。
画面左中央で、右手を挙げて光を指さしているような、老人らしき人物が居ますよね。
善良な人に見えます。
その反面、左下には、押し寄せた海水に引きずり込まれるようにしている男性が描かれています。
屈強な男性に見えますが、自然の力には抗うことができないようです。
老人の元に向かう蛇、そのやや右上では赤児が泣き叫んでいるように見えました。
そして右下では、その巨体ゆえか、岩を這い上がろうとするもうまく行かない象、いえマンモス? (は、ありえませんね)。
右側は暗く、押し寄せる波も不気味です。
暗くよどんだ雲に押しつぶされそうな光、と見るか、救いの光が現れたと見るか、あなたは?
[サトコ]イリヤ・レーピン:作
=解説=
ロシアの英雄叙事詩に登場する商人「サトコ」の物語の一場面が描かれています。
ロシア古来の弦楽器グースリの名手だったサトコは、水の王にグースリを聴かせたことによって多くの富を得て商人となりました。
あるとき、サトコの船が海の真ん中で動かなくなります。
そこでサトコは自らの身を、海の王への生贄とするため、海に飛び込みます。そこで出会った海の王にグースリを披露し、そのお礼に、花嫁としてさまざまな民族の娘を紹介されますが、サトコは彼女たちを選ばずにロシアの娘を選びます。
サトコの花嫁となるロシアの娘は、サトコの視線の先、画面の左上に描かれています。
ここには、美しく着飾った娘たちが、人魚に先導されながら、サトコの前に進み出てくる様子が描かれています。
海の底で繰り広げられる幻想的な世界が、美しい色彩によって表現されています。
サトコなんて言うものですら、党是に中央に描かれている女性のことだと思っていたのですが、どうやら、右手に立つ男性のことのようです。
サトコ=サドコとも称されるようです。
先導する人魚の目、怒っているように見えます。怖いです。
それにしても、美しい幻想的な絵でした。
今回をもって、[ロシア美術の至宝展]を終えます。
次回は、最後に訪れた墨田区にある……
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