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ノブレス・オブリージュ 

2019年04月20日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

私は、カルロス・ゴーンという人を、見誤ってしまった。
それを言えば、メディアだって、その真の姿を見通せなかった。
一市井人に過ぎない私に、責められるべきはない。
としながらも、かすかに恥じ入るものがある。

世の中には、民主制より独裁制の方が、上手く行く例がある。
議論百出の会議を重ね、そのために機を逸する……
なんてことがある。
ざらにある。
企業統治においては、右に行くか左に行くかを、
トップが速やかに決断し、
時を置かず、行動に移すことが大事だと、
かつて社長をやっていた知人から、聞いたことがある。

ゴーンさんは、経営者にふさわしい、判断力と行動力を
兼ね備えていた。
さらに、判断の元となる、見識も豊かであった。
見識とは、物事の本質を見通す力だ。
枝葉末節ではなく、根幹、これをしっかり、見据える力である。
その号令に、他を従わせる、カリスマ性もあった。

その手腕により、日産自動車を立て直した時、私は、
つらつら考えたものだ。
この国の政治が、閉塞している。
貧困であると言ってもいい。
そして、それは、今も続いている。

いっそ、ゴーンさんに、首相をやらせたらどうか……
しがらみのない政治力で、官僚機構などの旧弊に、
大ナタを振るってくれるのではないか。
なんてことを思った。
真剣に思った。
今となっては、とんだ見込み違いであったことになる。

彼には、表の顔とは別に、見えざる放恣な部分があった。
それがあの、飽くなき金銭欲だ。
会社の金を、私物化する。
それも数十億円とか。
英雄色を好むというけれど、彼の場合は「マネー」であった。
いや、こうなると、色だってわからない。
表面化しないだけかもしれない。

金なんてものは、あの世に持って行けるわけもなし、
食うに困らない程度に、あれば良いじゃないか……
とする私から見れば、彼のその、金銭への執着たるや、
とても理解しがたい。

これに対し、世間には、物欲を肯定し、蓄財こそを、
人生の目的とする人々も居る。
居るどころか、むしろ多い。
私の方がむしろ、少数派だ。
私は、自分が変人であることを、否定しない。

その私の中に、一抹の「もしや」がある。
彼の蓄財には、酌むべき事情があった。
実は、開発途上国の病院建設などに、その私物化した金を
全て投じていた。
などということが、もし明らかになれば、私も助かる。

さながら、純真な乙女が、惚れた男に、妻子が居たことがわかっても、
あの時抱いた恋情に、偽りはなかった。
と信じたいようなものだ。
私だって、この国の総理にとまで望んだ、その男を信じたい。

しかし、その可能性は、どうやらなさそうだ。
彼の所有する、クルーザーを見ればわかる。
ベルサイユ宮殿で挙げた、豪華な結婚披露宴を見ればわかる。

今の私は、彼について報じるニュースを、
裏切られた者の目で、眺めている。
眺めながら、呟いている。
私の呟きは、常に他愛なく、時に卑俗ですらある。
そもそも、人間に品性が備わっていないのだから、仕方ない。

「クルーザーなんか持つと、人生が狂うざ−」
そんなに楽しいかね……自前の船を持つことが……
私なんか、海峡を渡る連絡船のデッキで、
ビールでも飲み、それでもう満足なのだが。

「ノブレス・オブリージュ」
フランス人である彼が、この言葉を知らぬはずがない。
権力や富を持つ者は、率先して果たさねばならぬ、
社会への義務がある。
それが、不正な手段による、蓄財に奔っていては、
どうにもならない。

「He hasゴーンwith the wind」
風と共に、彼は去ってしまった。
この際の動詞はgoneでなくfallenの方がふさわしい。
Carlos Ghosn は風と共に、堕ちて行った。
まばゆく光るものを、あまりに多く、その身にまとったからだ。
その重みの故であることは、間違いない。



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そうです

パトラッシュさん

風華さん、
身の丈、これが大事です。
ゴーンさんは、多分思い上がっていたと思います。
もちろん、自分の身の丈を錯覚してです。

津軽海峡を、連絡船で渡った日が思い出されます。
それで、至福のひと時を表すために、使わせて頂きました。

2019/04/20 14:40:50

子孫に美田を残すな

パトラッシュさん

漫歩さん、
「稼いだ金は、自ら使え」です。
遺すとまってく、ろくなことはありません。

使い切れないようなら、何時でもお声をおかけください。
お手伝いに参上いたしますので。

2019/04/20 14:36:44

よかった

パトラッシュさん

シシーマニアさん、
貴女の琴線に触れることが出来、幸いでした。
海峡は何処でも良いのです。
大は津軽海峡から、少は尾道水道でも。
佐渡へ渡る船でもいいですね。

なかなかやる機会がないもので、つい願望として、用いさせて頂きました。

2019/04/20 14:34:31

身の丈

風華さん

良く言われる言葉ですね。
分相応、私もそう思います。
死なない程度に食べられると満足と思い、
美味しいものを食べたいの欲求が乏しい私は変人かも。
昔、友達が言っていたのは『起きて半畳、寝て一畳』
一人住まいに大きな家は不要と。

2019/04/20 11:20:41

御意!

漫歩さん

いま私が彼に対して思っていることを文章家に書いて戴きました。


蓄財についても同じ少数派です。

ささやかな持ち金を己の残余の人生で如何に使いきるかが目下の課題です。

2019/04/20 10:19:05

そうですよね

シシーマニアさん

「私なんか、海峡を渡る連絡船のデッキで、
ビールでも飲み、それでもう満足なのだが。」

一番琴線に触れた箇所でした。

2019/04/20 10:02:20

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