メニュー

最新の記事

一覧を見る>>

テーマ

カレンダー

月別

パトラッシュが駆ける!

範となれ 

2018年09月15日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

三振を喫したバッターが、不貞腐れて、バットを放り投げる。
悔し紛れに、ヘルメットを、地面に叩きつける。
よくある、光景ではある。

彼は違った。
脱いだヘルメットを、バットと共に、きちんと両手で持ち、
ボールボーイに差し出した。
「ご苦労さん」
と、口に出しては、言わなくても、その仕草に、
少年への労いがこもっている。
ここまで丁寧にやる選手は、滅多に居ない。

「実るほど、こうべを垂れる……」ということがある。
さすがに、功成り名遂げた選手は、やることが違う。
背番号「1」
若かりし、王貞治選手の、姿であった。

そこにあるのは、トッププレーヤーの自覚であろう。
自分は、多くの野球少年に見られている。
将来の野球界を担う、後輩らの模範とならねばいけない。
という思いがあるから、余計に丁寧に、
用具を扱ったのであろう。

私は、さまざまな“事件”により、
読売巨人軍が嫌いであった。
傲慢な人物が、球団オーナーや、会長を歴任するに及んで、
さらに嫌悪の度を増した。
しかしながら、個々の選手に対しては、格別の感情はない。
それどころか、その挙措を見て、敬意を抱いた、
王選手のような例もある。

 * * *

テニスの全米オープン、女子の部において、
大坂なおみ選手が優勝した。
その決勝戦の相手は、セリーナ・ウィリアムス選手であった。
試合の途中で、セリーナが怒った。
思うように、ゲームが運ばなかったからであろう。
ラケットを、コートに叩きつけた。
女子とは言え、身長175センチ、体重が70キロある。
鍛え上げた筋力は、そこらの男性を、凌ぐものがある。
ラケットは、原形を止めぬほどに、損壊した。

彼女は、自分の不甲斐なさに、怒っているのです。
自分を鼓舞するために、やっているのです。
と、あるコメンテーターは解説した。
しかし、観客は、そんな光景を見たくもない。
美しくない。
試合の感興に、水を差すものであった。
そして何より、彼女は、怒りをぶつける相手を間違えている。
自分の大事な道具ではないか。
それは、商売道具でもあり、もっと言えば、
彼女の分身ではないか。

大坂選手が、勝っていた。
ゲームで勝ち、マナーでも勝ち、試合後のインタビューでも、
その恭謙な態度でもって、勝っていた。

 * * *

私は、近くの小学校のクラブ活動で、生徒らに、
囲碁将棋を教えている。
技術面ばかりでなく、マナーを教えることに、
力を入れている。
「対局前と後の、挨拶をきちんとしなさい」
「待ったをするな」
「勝ったからとて、ガッツポーズをするな」
これらを、言い聞かせている。

上に立つ者が、範を示さねばならない。
先生と言えども、生徒に負けることもある。
その時は、明らかな声で「負けました」と言い頭を下げる。
勝った時には、大人に対すると同じように
「ありがとうございました」を言う。

「先生は、囲碁将棋を長くやって来て、
いろいろな人を見ました。
マナーのよくない大人も、実は居ます。
しかし、そう言う人に限って、上達しません。
強くなる人は、みんなマナーも良いのです」
こんな風に、訓辞を垂れることもある。
時に、王選手の例を、引き合いに出したりする。

しかし、困ったことも起きる。
今回のようなケースだ。
「先生、あの人は、テニス界の女王って、
言われているじゃないですか」
生徒から、セリーナの所業を例に、突っ込まれかねない。

もちろん、言い訳は出来る。
「あれは、スポーツ界のことです。囲碁将棋は違います。
この国で、千年も続く、
伝統競技です。あんな連中の、真似をしてはいけません」
まったくもって、やりにくいったらない。
私は、当分、スポーツ界に範を求めるのは、
控えようと思っている。

なおみさんよ。
セリーナの驥尾に付すのはいい。
しかし、技だけだ。
くれぐれも、そのスピリッツまでは、
真似しないでくれたまえ。



拍手する


コメントをするにはログインが必要です

あんな……

パトラッシュさん

漫歩さん、
御同様でしたか……
あの人物の傲慢さを見ていると、よく皆さんが、あのチームのファンでいられるなと、感心したくらいです。
セリーナも、あんな振る舞いをしなければ……と、
大変に残念です。

2018/09/16 05:59:00

人間性

漫歩さん

パトさんの読売巨人軍嫌い(私の主因はW氏の存在)と、王貞治さんを敬愛することは正に我が意を得たりです。

セリーナの言動には嫌悪感を覚えました。
高価な入場料を払ったファンに、その入場料収入を得るプロが見せてはならない振る舞いでしたね。

2018/09/15 18:07:01

勝負の世界は

パトラッシュさん

シシーマニアさん、
大坂選手に対し、「あれが日本人?」と違和感を持つ人も、少なくなかったようです。
しかし、勝てば官軍ですね。
今はもう、すっかり国民的英雄になっております。
たどたどしい日本語も、むしろ、チャームポイントになっているくらいで……

勝負の世界は、やはり、勝たないと……
ということを、しみじみ思わされております。

2018/09/15 13:47:40

今回の登場人物達は

シシーマニアさん

さすがの、常識知らずの私も知っています。
ネットニュースでも、報じられていましたので・・。

むしろ、日本語のたどたどしい日本選手に違和感を持って、ウィキペディアで調べました。

国を背負う人達もそれぞれで、単純には語れないのですね。

2018/09/15 09:12:46

PR





上部へ