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パトラッシュが駆ける!

脱走犯 

2018年09月08日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

ちょっと目を離した隙に……
という失敗は、誰にでもある。
しばしば起きる。
問題はそれが、周囲に対し、どの程度の影響を、及ぼすかだ。

拘留中の被疑者が、接見室の境の、アクリル板を破り、
逃走した。
大阪富田林署の失敗は「うっかりランキング」なるものが
あれば、間違いなく、トップに、躍り出るであろう。

以下は、それに比べると、まことに小さい
「うっかり」である。

「車に戻ったら、黄色いステッカーを張られていた」
Aが、私のサロンに、駆けこんで来て言った。
当人は、その間を「所用で」と言うけれど、
それが、どんな用なのかはわからない。
喫茶店で、コーヒーを飲むのも、仕事の内だとする説もある。

運悪く、お巡りさんが、回って来たのであろう。
当人は「ほんの僅かな時間」と言うけれど、相手はプロだ。
チョークで路面に印を付けるなど、しかるべき手順を踏み、
駐車違反の摘発を行ったと思われる。

駅前交番に出頭したAが、やけに晴れやかな顔で、
戻って来た。
「無罪放免されたよ」
Aは、幸運であった。
さあ、これから、反則切符を切ろうかという段になり、
警察官の無線が鳴った。
「はい、了解しました。すぐに現場に向かいます」
警官の顔が、こわばっている。
Aに向かい言った。
「今日のところは、いい。帰っていい」
「はあ……」
こういう時、欣喜雀躍してはいけない。
私は、法治国家の国民として、払うものは払うつもりで、
いたのです。
しかし、警察の側に、緊急事案が発生したようです。
不本意ながら、その指示に従うまでです。
という風を装い、戻って来たのだそうだ。

 * * *

警察というところは、常に忙しい。
盆も正月も選ばず、事件は起きる。
人が、交番に駆け込んで来たら、何はともあれ、
対応せねばならない。
被害届を受理し、事件現場へも、急行せねばならない。
「世はすべて事もなし」
警察というところは、これを望んでいる。
上は長官から、下は現場のお巡りさんまで、
押しなべて望んでいる。

私は過去に、家の外壁を、車により、
傷つけられたことがある。
車は逃げてしまったので、覚えている番号をメモし、
交番へと走った。
警官は、これを受理というのであろう、
書類に書き込んでいた。
それだけである。
覚えていたのが、四ケタの数字だけであり、
万全でなかったこともある。
殺人や傷害ならともかく、外壁に傷が付いたくらいだ。
その損傷を軽微と見て、ろくに捜査など、行わなかったに違いない。
それきり、梨のつぶてであった。

路上で二人の男が、揉み合っていた。
車が止まり、傍らに、自転車も止まっている。
話の成り行きから、すれ違いざまに、車と傘が、
接触したかと思われる。
このままでは、傷害事件になりかねない。
お節介な私は、交番に走った。
事の次第を話し、現場に急行してもらうように、頼んだ。

奥で休憩中であったのか、現れた警官は、無帽であった。
おもむろに、拳銃警棒などを、腰に装着し、
帽子を被った。
そして、いざ出発する段になり、私に言った。
「警察は、民事には介入できませんので」
行くには行くが、一方の肩を持つというわけには、
行かないということだろう。

民事不介入なる原則が、警察にある。
それはよくわかる。
しかし、傷害事件に発展する可能性だって、ある。
四の五の言わず、素直に来てくれればよいのに……
と私は思った。

後で事情通に聞いたら、こんな場合は、
110番に通報する方が良いのだそうだ。
上からの指令が出れば、警官は嫌もおうもなく、
出動せざるを得ない。
交番の場合、一民間人が、駆けこんで来たとして、
それが軽微な事件なら、出来れば、出動なんかしたくない。
その気持が、最前線の警官の、顔に出ている。

「ことなかれ」
これこそが、警官の願うところだ。
願うのはいい。
問題は、それが「主義」となってしまうことだ。
「ことなかれ主義」
大阪の脱走事件も、元を辿れば、ここらに原因があると思われる。

 * * *

大阪府警では、連日3000人を動員し、
脱走犯の行方を追っているらしい。
厖大な数だ。
彼らは、普段、どういう仕事をしていたのだろう。
まさか、遊んでいたわけでは、ないであろう。

3000人もが、脱走事件に、専従するとなると、彼らが日頃、行っていた業務は、
どうなるのであろう。
駐車違反などの微罪までは、到底、手が回りかねるであろう。
大阪の治安は、大丈夫であろうか……
私は、よそ事ながら、心配になっている。

と言ったら、これも事情通が、教えてくれた。
大阪府下は、今、路上に警察官が溢れている。
制服も居れば、私服も居る。
コソ泥、ひったくり、痴漢などは、
むしろやりにくいのだそうだ。
脱走犯は、妙なところで、大阪の治安に一役買っている。

 * * *

犯人の今後については、諸説がある。
彼は、捕まることを望んでいるのではないか……
という説があり、私もこれに、与(くみ)している。
逃げては見たものの、枕を高くして、眠った日はなかった。
永遠に逃げおおせるとも、思えない。
頃合いを見て、何処かで捕まりたい。
籠の鳥が、自由の風に、当ってみたかっただけだ。
そのために、今後の刑が長くなっても、やむを得ない。

と、そんな風に、彼の胸中を想像している。
ならば、自首するか……
それはないだろう。
とことん努力をする。
その能動性こそが、彼の身上だからだ。

大阪府警だって、自首なんかされると、困るだろう。
ひょっこり、府警本部に現われて「本部長に会いたい」
なんて言われると、その面子が丸つぶれになる。
「こちらへどうぞ」で、一旦外に連れ出し、通りを一つ、
隔てたくらいの場所で、その首根っこを押さえ、
「ほらー、捕まえたぞー」と、叫びたいであろう。
そうでもしないと「うっかり」ばかりでなく
「無能」の方でもランキングに入ってしまいかねない。



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身体的特徴もあり

パトラッシュさん

Babnさん、
二年ですか……
私は、そろそろかな、と思っていますが。

2018/09/09 05:43:55

そろそろ一か月

パトラッシュさん

漫歩さん、
実害のない、速度違反を取り締まり、これこの通り、仕事をしているんだ、というところを、見せたいのでしょうかね、警察は。
鼠を千匹捕まえるより、豹を一匹、しっかり捕まえてくれよと、こう言いたくもなりますね。

悪豹の顛末、どうなるのでしょう……

2018/09/09 05:39:57

脱走犯に脱帽しました

さん

 緻密に観察、実行してますし、何より、1時間内に7回もひったくりをしているとは! 流石プロです。

 多分、市橋より記録更新したいと思っているとおもわれ、あと2年は出てこないと思います。

2018/09/08 21:49:09

鼠と豹

漫歩さん

私は3年前、北海道の人家稀なる道道でネズミ捕りに引っ掛りました。制限時速50kmで7km超過でした。

過日、大阪の富田林署から残酷卑劣な豹がまんまと逃走し、捕っ手数千人の大捕り物が続いています。

片や、2名の警察官が欠伸をしながら1匹の老鼠を捉えた。
片や、見張りの居ない檻に豹を置きっ放しにして逃げられた。

運悪く捕まった遺恨もありますが(笑)、
日本警察の現状に思いを致すと?だらけです。

2018/09/08 20:48:42

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