ほっこり

峠〜心の風景 

2018年08月07日 ナビトモブログ記事
テーマ:男もすなる日記




男は竹筒の水を口にした
したたり落ちる汗を拭う
男の汗と匂いを吸った手拭いはぐったり
頭にも少し水をかける
心持ちひんやりとする
手の甲で額を払う
吐息もあつい

手甲脚絆に編み笠、草鞋
腰に竹筒
首に掛かる手拭い
背負子が背中にへばりついている

里からの登り
あと少しで峠だ
初秋の草花に心奪われながらも
歩を進める

里から見える壮大な山並み
その大きな壁の向こう側が見たかった
そこには未知なるものが隠されてるに違いない
抑えきれない欲求、憧れが
彼を動かした

思ったよりはなだらかな道
途中樹海を彷徨うようなところもある
お日様が隠れて少し心もとない気もするが
木洩れ日が気を落ち着かせてくれる

峠までは一本道

樹海を抜けると
はっと視界が広がるところもある

菊やすみれ、百合などと名を知らぬ花達も集まって
色の競演をしている
木々の間からは鳥の啼き声
蝉時雨も聞こえる

やっと遠目に旅籠が見えてきた

その刹那
壮大な光景が目に飛び込んできた
声が出ない
里からは決して見えなかった
偉大な眺め

昼の日差しを浴びて
青く輝く山肌
頂は鋭く天を突き刺している
すべてをさえぎるようなむきだしの巌、碧、磊
残雪が谷筋に白い筋を描いている

はるか下には川の流れ

旅籠の蓮台
団子と茶

ここを下れば白樺並木があり
清流にはやまめ、ます、いわながいるそうな

今宵の宿はここに決める

峠の風景


想像の世界だが
こんな旅をしてみたい

・・・

だれかが風の中で〜上条恒彦
https://www.youtube.com/watch?v=dtq55MHDlXo



拍手する


コメントをするにはログインが必要です

素浪人kenさんへ

ぼてふりさん

想像の世界とはいえ
過去の体験、想い出を交えて書いた拙い話でした
まだ見ぬ世界への憧れが自分を動かしてくれる
情熱というのでしょうか
熱い何かが体の中を走り抜けます
kenさんも幼い頃の体験、好奇心が
山へと誘ってくれたのですね
一流登山家のkenさんにもそんな時があった
実に親しみを感じます
私の大きなきっかけは
美ヶ原高原から遠望した北アルプス
もちろん準備していましたが
下諏訪温泉に泊まり
翌日には上高地〜徳沢園
その時は蝶ケ岳に登りました
福岡周辺の低い山々には登っていましたが
高山の魅力にすっかりはまってしまいました

コメントありがとうございました

2018/08/07 23:20:44

同じなのでビックリです

素浪人kenさん

子供の頃、遠くに見える山の峰々、1500m前後の低い山だが当時は積雪も多く、子供心に高い山として見ながら育った。
その中で手前にある独立峰の山が印象的だった。その山の向うはどうなっているのか、あの山並みの向こう側は…いずれ登ってそれを見たいという思いにかられる。
小六年生の夏休みに学校の夏季鍛錬でその山に登ったのが登山の最初で感動しました。同時にその先も見渡す限り山だったので更に先の山に登ってみたい気持ちになる。
下山時に体調を悪くした生徒を体育の先生が背負って下りて行くのを見て凄いと思ったのが憧れになる。
これがkenが登山に夢中になった動機です。

2018/08/07 22:09:20

漫歩さんへ

ぼてふりさん


夜叉神峠、後で検索してみます

日本で出来た漢字「峠」
巧く表現していますね

涼しくなってきたら近場で歩いてみたいです
今はほとんど車が走ってますから
静かな峠道を探すのが大変です

2018/08/07 15:25:17

夜叉神峠

漫歩さん

流石に臨場感がありますね。

色々なところを独り歩きしてきましたから、こんな光景もありました。

寒さの来ぬうちに何処か歩いてみたいなぁ。

2018/08/07 14:48:02

みさきさんへ

ぼてふりさん

碓井峠〜名前は知ってました

私がイメージしたのは徳本峠
安曇野側から北アルプスへと行く途中にある峠
山小屋があります
それを踏まえての想像の世界でした

今のようにレジャーとしての登山がない頃
旅人は何を考え歩を進めていたのでしょうか

2018/08/07 11:51:56

山紫水明

みさきさん

私には、架空の旅と言うより、遥かなるわが故郷。峠と言えば、碓井峠であり、心には、信濃の山並みと千曲川が見えました。

2018/08/07 11:43:25

ゆりかごの夢さんへ

ぼてふりさん

最近は情報が多いので写真や動画を見て行くから
未知の要素が旅から失われていると思います
予備知識は必要ですが
出来るだけ知らずに憧れ持ってがいい
感動がそれだけ大きくなるから

高山の山登りでは樹海に囲まれて
周りが見えないところが多いです
高い木から背の低いハイ松地帯
それを過ぎると岩と石ころ、砂の世界
いわゆる森林限界があります

峠という所
周りが見渡せてほっとします

2018/08/07 11:40:11

ゆりかごの夢さん

ぼてふりさん〜

描写に臨場感が、
一緒に旅をしている様でした !

人生って「旅」ですもんね。

2018/08/07 10:54:34

PR





上部へ