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パトラッシュが駆ける!

同族嫌悪 

2018年06月02日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

「面白くないな、今回の朝ドラは」
「若い人向け、ですからね……」
「若くないもんな、私はもう……」
「そうです。立派な年寄です」

妻との会話は、大概こうなる。
夫婦して、皮肉ばかり、言い合っている。
それでも別れずに、引っ付いているのは、
その方が、便利だから……ということになる。
ちなみに「立派な」は、「十分に」の意味であり
「優れた」とか「偉大なる」でないことは、言うまでもない。

この身が、時流に合わなくなっている。
ということを、痛切に感じている。
歳はとりたくない。
しかし、取ってしまったのだから、仕方ない。

公園の鉄棒で、懸垂をやる。
これが私の、朝の日課だ。
その日は、若い親子が、近くに遊んでいた。

つかつかと、鉄棒に近付いた私を見て、父親が、
息子に言った。
「ほら、おじいちゃんが、やるんだってよ」
これに、血が騒いだ。
おじさんではなく、おじいちゃんと呼ばれている。

ならば、私の力を見せてやるぞ……
張り切って、鉄棒に飛び付いた。
しかし、懸垂四回で力尽きてしまった。
なさけない。
最盛期には、この身体を、上下させること、
十回に及んだこともある。
その身が、今や、おじいちゃんたるを、追認することとなった。

もうあまり、しゃしゃり出ない方が、良いのかもしれない。
年寄りらしく、自重しているのが、良いのかもしれない。
そう思いつつ、いざとなると、我を忘れてしまう。

 * * *

日大アメフト部選手による、悪質タックルが、話題になっている。
ここ、三週間ほど、テレビを付ければ、必ず出るから、
私は、このシーンを、もう飽きるほど見ている。
「千回くらい、見たかな」
「いえ、百回ほどです」
ここでも、妻は冷静だ。
一日五回として、延べ二十一日、計算すると、確かにそうなる。
私とて、負けていない。
「千尋の滝とか、白髪三千丈とか、言うだろ」
千には「多い」という意味があるのだと、言ってやる。

その、タックルシーンの中で、私の気になることがある。
レフェリーの態度だ。
タックルの後、もそもそと現場に近付き、気のなさそうに、
黄色いフラッグを投げた。
これが、ペナルティの印であるらしい。

起きた事態に比べ、いかにも緊迫感がない。
嫌々やっている感がある。
画像をよく見ると、腹が突き出ており、かなりの年配者のようだ。
もしかすると、人材が払底しているのであろうか。
威厳に欠け、動きの緩慢でもある、あのような年寄を、
どうして使うのか……
私は、タックル場面は見飽きたので、
専ら、レフェリーの動作を観察している。

日大側の会見が行われた。
監督とコーチが、一問一答に応じている。
「この辺で、終りにしたいと思います」
司会役が言い出した。
やけに収束を急いでいる。
当然のように、報道陣は納得しない。
「まだ、質問があります」
「同じ質問を繰り返しても、時間の無駄です」
押し問答となった。
「そんなことでは、日大のブランドが落ちます」
たまりかねた、記者が言った。
間髪を入れずに、司会役が応じた。
「落ちません」
決然として言った。

テレビに映るその顔が、やけに老けている。
なんで、こんなに頑固で、対応力に欠ける人間を、
司会役に出すんだ……
日大広報部には、他に人材がないのか……
私は、自分が年寄りのくせに、年寄りの鈍重を嫌い、蔑んでいる。
これ、同族嫌悪かもしれない。

 * * *

九十歳の女性の運転する車が、横断歩道を通行中の四人をはね、
一人を死亡させた。
「赤信号は見えていたけれど、大丈夫と思った」
彼女、運転には自信があったらしい。
それで、家族が止めるのも聞かず、免許を更新し続けたのであろう。

自身を客体視することが、出来ない。
これが、年寄りの通弊であろう。
この女性もそうだ。
九十歳と言う、自分の年齢が、世間からどう見られているか、
そこに思いが及ばない。
周囲の諫言にも、耳を貸さなかったに違いない。
精神の柔軟を失う。
これが老化であり、社会に、迷惑を及ぼすに至って、
それは、老害と呼ばれることになる。

 * * *

朝ドラの、好悪の問題なら、いくらでも己を貫くがいい。
問題は、社会と関わりのある場合だ。
私は、要職、公職にあるわけではない。
それどころか、既にして、仕事を離れている。
運転免許は、返上してしまった。
他人に、老害を及ぼす可能性は、少ないと思われる。

ただ一つ、戒めるべきは、自覚が足りないことだ。
鏡に映る自分を、すぐに忘れてしまうところだ。
若いつもりでいる。
例えば、駅の階段を、二段上りする。
そうしては、入ってきた電車に、飛び乗ろうとする。

何時か、救急車で運ばれるのではないか……
「無茶したわよね、あの人。いい歳をして……」
世間の人々から、呆れられるのではないか……
というところに、ひそかなる恐れを抱いている。

振り返れば、決して立派な人生ではなかった。
しかし、皮肉なものだ。
私はとうとう「立派な年寄」になってしまった。



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迷い……

パトラッシュさん

モナミさん、
もう、リタイアしましたか、朝ドラから。
その気持、よくわかります。
私は、どうしようかしら……

2018/06/04 20:43:04

朝ドラ

さん

今日は *

私と友人 ( ドラマ・映画好き ) も 「ひよっこ」以降は 朝ドラを見ていません

友人は 今秋の朝ドラ 「まんぷく」は楽しみにしているそうですが (^^)

2018/06/04 16:24:13

同感です

パトラッシュさん

山すみれさん、
そうですよね。
私は、前回までの朝ドラに比べ、是非見たいと言う気が、薄れています。
ヒロインが、東京に出て来てからが、特にです。
こんな人物が、本当に居るのだろうか……
という疑問が、湧いて、素直にドラマの中に、入れないでいます。
これ以上、現実離れするようだと、私は、見るのを止めるかもしれません。

2018/06/03 19:41:38

朝ドラ

山すみれさん

同感 です!
欲目で見ても、面白くないなって一人考えで
スイッチを切って〜

私だけかなぁって思っていました!

そして、思考力鈍らせて人間の瞳の光らない
頭脳が正常でない、
おかしくなりそうな人が繰り返し登場する
昨今のニュースです。

2018/06/03 16:47:26

やります、値切り

パトラッシュさん

Reiさん、
私の二段上がりは、もう病気なのです。
治る見込みがありません。

但し、雅叙園の百段階段だけは、一段上がりにしました。
だって、早く上がったら、もったいないですもの。
結局、この際とばかりに、二往復しました。(笑)

値切り……
私だってやりますとも。
ヨドバシだろうと、ビックカメラであろうと、万の単位になったら、必ず一声発します。
「予算オーバーなんだけど、なんとかならない?」って。

2018/06/02 14:08:56

何をおっしゃいますか!

Reiさん

師匠は立派な…(優れたという意味ですよ)年寄…いえ、紳士です(^^)

でも、階段の二段上りはやめましょう(^^;

「同族嫌悪」と言えば、私も図々しいおばさんは大嫌いです。でも、自分は買い物するとき、必ず値切ります⁈

2018/06/02 09:47:37

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