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独りディナー
刺激を受ける
2018年04月09日
テーマ:シニアライフ
大学の同級生の、ピアノリサイタルを聴いた。
長くドイツに住んでいた人だが、プログラムは意外にも半分は、ドビュッシーにショパン。
まあ、考えてみれば大学時代まで安川加壽子先生の門下だったから、そちらの素養も豊かなのだろう。
風貌からして、老齢のピアニストという様子で、真摯に音楽に取り組んでいるのが伝わってくる。
きっと彼は、その人生をずーっとピアノの前で、というかピアノと楽譜の前で過ごしてきたのだろう。
雑に生きている自分と照らし合わせて、色々考えてしまった。
同級生とはいえ、殆ど彼の性格も人生も知らない。
でも、ピアノを弾いている彼の様子は、真面目で真剣で、只、余り幸せそうには見えなかった。
それはきっと、ワイングラスを片手に毎日の生活を享楽して、それでいながらピアノにも未練が残っている私の、エクスキューズだったのかも知れない。
その数日前には、「ベルリンフィル、デジタルコンサート」で内田光子さんのピアノを聴いた。
サイモン・ラトルの指揮で、モーツァルトの20番のピアノ協奏曲。
ちょっとテンポ設定が速め、と言う事もあるかも知れないけれど、これぞ動きのある演奏の最たるもの、という印象だった。
音楽を演奏するとき、「流れるように前進する」とか英語なら「ドライブする」などと、よく表現される。
ニューヨーク留学から帰国して間のなかった先生が、ことある毎に「動いて!」という指示を出していらしたのを、思い出した。
内田光子さんの演奏には、一瞬たりとも曖昧な時が無い。
その完成度は、半端じゃないけれど、音楽の作りにこれ程刺激を受けたのは久々だった。
先週は、新装して開館した御園座のこけら落としに行った。
「高麗屋襲名披露公演」
そこで見た、中村吉右衛門と、お兄さんの旧幸四郎の見事な舞台。
吉右衛門の演じた「梶原平三誉石切」は、文字通り歌と舞と技、という作品だったが、吉右衛門の舞台はさすがだった。
台詞とも言えない様な、歌舞伎独特の節回しに、踊りのような身のこなし。
そして特に、他の役者さん達が演じている間の、佇まい。
何をするわけでも無い、その間。
吉右衛門から空気の様に伝わってくるのは、その場その場の感情だった。
「年季」という一言の重みを、つくづく感じさせられた。
旧幸四郎は「勧進帳」の弁慶を演じた。
一月だったか、歌舞伎座での襲名披露では、息子の新幸四郎が弁慶を演じたので、私は同じ配役なのだろうと早合点して、数ヶ月の変化を見るのを楽しみにしていた。
花道から出てきた弁慶は、最初からその存在感が溢れていて、気になっていた高めの声音も、見事に渋い低音に作り直されていた。
それはまるで、お父さんが乗り移った様な弁慶だった。
余りの違いにすぐ気付いたけれど、富樫役こそが息子の新幸四郎で、弁慶はお父さんその人だった。
「年季」の入った弁慶、そのもだったのだ。
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ワイン付きが、楽しいですよね
本来真面目な私は、「禁欲的」という言葉に魅力を感じるのですが、やはり易きに流れてしまいます。
「人生は一度きり」だとか、「この年になれば、今を逃すと次は無いかも」等など、言い訳を心の中で用意している、小心ものでもあります。
2018/04/09 12:12:17
ワイン
おはようございます。
>ワイングラスを片手に毎日の生活を享楽して、それでいながらピアノにも未練が残っている
エクスキューズではありません。
どちらも、素晴らしい生き方だと思います。
“もしもピアノが弾けたら”、私はワイン付きを選ぶかも知れません。
洋楽と邦楽、充実した日々ですね。
2018/04/09 07:30:03