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個人としての人生　

2018年03月10日
テーマ：シニアライフ

昨日の彩さんのブログを読みながら、色々自分の事を考えた。

かつて読んだ、上野千鶴子の「おひとりさまの老後」という本に、私は相当影響を受けた。

つまり、どんな人生を生きてきたにしろ、老後は一人なのだ、という認識。


私は、30才の6月10日に結婚して、69才の6月に主人が亡くなった。

つまり、今までの人生70年の間、ほぼ40年を○○夫人という名前で過ごして来たのだ。


全てが心地よかった訳ではないし、結婚した当初から、人生一度は経験をしよう、位に軽い気持ちでスタートを切ったのだった。


そのままだと、多分性格は大きく違ったし、別れた可能性が強い。

しかし、幸いな事に間もなく娘を授かり、翌年は息子も生まれた。

年子の子供達を育てるに為に、結婚生活が続いた、とも言える。


次第に私は、「○○ちゃんのおばさ〜ん」と、小さな子に道端で呼びかけられることも、喜々として受け入れていた・・。


それまで私は、戦後教育の自由な社会に育ち、男尊女卑の考えの中で進学を諦めざるを得なかった母親の影響も受けて、借り物の革新的な論理を振りかざしている、とんがった女性だった。


只、揺らがない自分の理念を持つ人に対しては、常に文句なく敬意を払っていた。

主人は、一緒に生活しているうちに、「えっ」と驚くばかりに、確固とした理念の持ち主であることに気づかされた。

最初は、ちょっとビジュアルで惹かれたところもあったのだが（恥ずかしながら・・）その正統的な考え方に、次第に圧倒されてしまった。

去勢された、等と息巻いてはみたけれど、自然に○○夫人の生活を受け入れていったのだ。

そして、39年間は過ぎていった。


亡くなる5，6年前に、主人に体調の不変を告げられて、それから最低限の医療のみで、昨年その人生を終えた。


一方私は、その間、その後に来るであろう、自分一人の未来を予想しつつ過ごしてきたことになる。


主人と一緒だった間、私は殆ど全てを主人に委ね、楽な人生を歩いてきたので、一人になったら喪失感で引きこもるのでは、と何となく思ったりしていた。


そうなったら、それもよいだろう。

主人は、私がどう過ごそうと、受け入れてくれる人だとは、私なりによくわかっていた。


ところが・・。

主人が亡くなってから、涙が溢れるどころか、新しい自分の世界を自由に歩いている。

これは、一体何なのだろう、と自分の中で整理が付いていなかったのだが。


昨日の彩さんのブログを読みながら、気づいてしまった。

これは、一人になって、再び、個人に戻ったからなのだ、と。


もう、主人のサポートは望めないし、話しかけても答は戻っては来ない。

けれども、これからは○○夫人としてではなく、個人としての私の人生が始まるのである。


きっと、私の中の何処かで、わくわくしていたのだろうと思う。

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