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敏洋’s 昭和の恋物語り

ごめんね…… (十一) 

2018年03月06日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



 計画自体は、大雑把な計画だった。
小屋から連れ出すことだけで、その後どこでどうするということまでは考え付かないものだった。

 ともあれその夜、友人宅に泊まるからと自宅に連絡を入れた。
そして午前一時の柱時計の報を聞くと、眠い目をこすりながら行動に移した。

 家人に気づかれぬようにそっと出ると、目指すはあの小屋である。
できるだけ暗い道をと回り道をしながら歩いた。

 酔っぱらいの声に怯え、巡回の警察官に出くわしはしないかと、また怯えた。
犬に吠えられた折には、二人とも一目散に駆け出していた。

 そしてようやく、小屋に辿り着いた。
遠回りしたせいで二十分ほどかかったろうか、しかし二人には一時間にも二時間にも感じられた。

「着いたぞ」
「着いたね」
「あの人は、どこだ? どこで寝てるんだ」
「どこだろうね、ほんとに」

 小屋の周りを音を立てぬようにと歩きながら、小声で声を掛け合った。
二人寄り添いながら、何度も「どこだ」」どこだろうね」と声を掛け合い続けた。

 怖かったのだ。
街灯は遠くにある。
ここまでその灯りは届いてはくれない。
境内に張り巡らされていた電灯は、すべて消えている。

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