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敏洋’s 昭和の恋物語り

ごめんね…… (三) 

2017年12月19日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



 一人取り残された私は、人ごみをかき分けてまで追いかける気にならずに、傍らの玉垣に腰をかけた。
「あゝ、悪いんだ。罰が当たるよ!」
 りんご飴を、さも愛おしそうに舐めながら、彼女が戻ってきた。
「ねえ。あっちにね、お化け屋敷があるの。入ってみない?」

「あゝ? お化け屋敷って、またか? この間入ったばかりじゃないか。
それでもってぼくにしがみついて、一歩も動けなかったろうが。それなのに、またか?」
「意地悪! でもまた、入りたいんだもん。この間のは、西洋のお化けだったでしょ? 
ここのは、日本のお化けみたいなの。日本のお化けは知ってるからさ、そんなに怖くないんじゃない? 
ねえ、行こうよ。あ、そうそう。さっき新一が言ってた呼び声って、お化け屋敷じゃなかったの? 
頭の少し禿げ上がったおじさんが、一生懸命大きな声を張り上げてたわよ」

 目を輝かせて、私の手を引っ張る。
人一倍怖がりのくせに入りたがる彼女だった。
今では見世物小屋ではなくお化け屋敷が、お祭りにとってなくてはならぬものなのだろうか。

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