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シャガールを巡って・・ 

2016年10月15日 ナビトモブログ記事
テーマ:シニアライフ

20年くらい前だったろうか。

主人と白馬へ行った。

北海道育ちの主人は、スキー・スケートが得意なので、たまーに私も付き合う。

主人が山で滑っている間、私はいつもの様に、白馬の街(村?)を、ぶらぶらと歩いたのだけれど。


参考までに訊いたホテルの人が、「シャガールの作品しか置いてないのですが・・」と教えてくれた美術館は、まるで私を待ち受けていたかの様だった。

夏には人も集まるらしく、小さなコンサートができるスペースもあったけれど、冬はやはり皆山へ向かうのだろう、館内には他に誰も居なかった。


そう、シャガールを独り占め状態だんて、なんという贅沢な環境だったろう。



その少し前、箱根のポーラ美術館を訪ねた事があり、そこの企画展で出会ったのが、シャガールだった。


私はそれまで、ピカソ一辺倒という感じで、ピカソの作品があると聞けば、出かけて行く暇人だった。



初めてゆっくり見たシャガールは、遠近感が独特だから、最初はおとぎの国に紛れ込んだ気分がした。


そして、気になったのが、「屋根の上のヴァイオリン弾き」が描かれた、いくつかの絵。


タイトルは他の名前だったと思うが、ヴァイオリンを持った人が屋根の上に居る図が、二つは有ったと思う。



あるとき招待券を戴いて、「屋根の上のヴァイオリン弾き」というミュージカルを観に行った。


例の森繁久弥主演の舞台では無くて、外来の英語版だった。


何の知識も無かった私は、森繁久弥が満面の笑顔を浮かべて、屋根の上に座ってヴァイオリンを弾いているポスターしか知らなかったので、これはてっきり喜劇だと思っていたのだ。


しかし、それはロシアの貧しいユダヤ人の話で、彼らにとって「アメリカへ行く」というのが唯一の夢、といった話だった。

誰も、屋根に登らないし、ヴァイオリンも弾いていなかった・・。


これは、必ず裏がある、と私は思った。


このタイトルは、何か夢を抱くといった様な言い回しなのではないか・・。


今ならネットがあるからすぐに、このシャガールの絵の、物事に動じない超然とした人の様子が題材になってミュージカルができた、といったエピソードが解るけれど・・。



ポーラ美術館では、サーカスやピエロの絵も沢山展示されていた。



年表を見ると、それらは、画家が70才をを超えてからの作品だった。

この夢のような色彩感は一体何のだろう。


すっかり、シャガールにとりつかれた私は、それから大体、見ればすぐ解るあのシャガールの世界に引きこまれていった。


見る側の、年齢的なこともあるだろうか・・。


どちらかというと、私はあの幻想的な夢の世界が好きだ。


数年前、主人のお供で訪れた南仏のニースにも、国立マルク・シャガール美術館があった。

ニースは彼が晩年過ごした場所で、近郊には彼のお墓もあった。


其処に展示されていた多くは、旧約聖書から題材を採った大作で、私が抱く彼のイメージからはかけ離れた、暗くて重い色調の作品が多かった。


でも、現地で出会った知人達は一様に、素晴らしかったと言って、私に奨めてくれたから、やはり西洋人には訴えるものがあるのだろう。


このときも、つくづく背景を知らなくては、表層的なことしかわからないなあ、と思ったものだった。


その時、小さなツァーでシャガールのお墓に行った。

墓石の上に、小さな石が沢山並んでいて、ユダヤ教ではお墓にお花では無くて石を飾るのです、とガイドさんが説明していた。(ホントかな・・)


「オー、イッツ チープ!」

いつもマイペースで、皆からちょっと浮いているギリシャのクリスティーナさんが、私の方を見てニヤッと笑いながら言った声が、今も耳に残っている。


それは、太陽がさんさんと輝く、コートダジュールでの、明るい一コマであった。


国立美術館の大作より、その時ののびのびとした雰囲気こそが、私にはシャガールにふさわし気がした。



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素敵な美術館ですね

シシーマニアさん

ミルさん、コメントありがとう。

白馬の美術館は、避暑客が文化を味わえる場所、という感じでしたね。

あふれるばかりに沢山のエッチングが並んでいて、驚きました。

2016/10/16 01:46:01

絵にも、造詣が深いのですね

シシーマニアさん

村雨さん、やはりピカソですか・・。

ちょっと、そんな印象を受けました。

ダリは、ちょっと解りませんが・・。
自分が余り好きになったことが無いので、どんなタイプのファンがいるのか、未知の世界です。

根気がありそう。

2016/10/16 01:42:50

白馬の小さな美術館

ミルフィーユさん

シシーさん、あの白馬の小さな美術館の事は、今も目に浮かびます。
冬は、さぞ閑散としているでしょうね。
私が行ったのは初夏でした。
エッチングの小品だけでしたが、今はどうなんでしょうね。

聖書がベースになる西洋の芸術ですから、背景を知らずして鑑賞しているのは勿体ない事なんですよね。

でも、夢のある温かい色合いに惹かれるファンが、私もそうですが多いですね。
コートダジュールの明るい陽射しの中で、石だけが積まれたチープ!なお墓、忘れられないエピソードになりそうです。
色々各地へ行かれて羨ましいばかりです。
でも、思い出をもっと知らせてくださいね。
楽しみにお聞きします。

2016/10/15 15:17:14

シャガールか

さん

ピカソかダリか。
仲間内で、そのだれが好きか、当てっこをしたことがあります。
みんなは、私はシャガールだろうと言いましたが、やはりピカソです。

ただ、シシーさんのように、多くを見てはいないので…。

2016/10/15 15:10:11

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