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敏洋’s 昭和の恋物語り

[舟のない港] (九十四) Last 

2016年08月03日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



 ミドリに対する愛情の有無ばかりに気をとられ、愛そのものの姿を見失い、悩まされ続けてきたことも、遠い昔のように思える。
愛情とは、形のあるものではなく、これだ! と決めつけられるものでもない。
いつの日にか愛せるようになる、とその存在を確かめることに執着したが為に、見失っていた。

 妊娠の事実が分かった日、ミドリの口から出た言葉を思い出した。
「もし貴方が、子供のことでそう決めたのなら、始末します。
永久に持てなくてもいいんです。
お医者さまは、かもしれない、と言われたのですから。

子供は、又できるかもしれないけれど、貴方は二人といないの。
だから、今まで通りに‥‥」

 男は、心の中で念じ続けた。
「俺が帰り着くまで、待っていてくれ。頼むよ、
子供を堕ろすのはやめてくれ。一からやり直すから」

 男は、ミドリの元に戻ることを決意した。
かびの生えた情熱を、今再び、ミドリのためにそして生まれくる子供のために燃やそうと思った。


*続編の意思があるのですけれど、迷っています。
ミドリの復讐編とでも言うべきものなのですが、どうしたものか…

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