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敏洋’s 昭和の恋物語り

[舟のない港] (九十一) 

2016年07月31日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「おじさあん!」
 気が付くと、娘は離れた場所に居た。大きく手を振っている。
男も、大きく手を振った。
息せき切って、手にたくさんの草花を抱えて娘が戻ってきた。

娘は、男の横に座ると、一心不乱に編み始めた。
「ホラ、お花の冠だよ。昔ね、よく作ったんだ。
犬のね、ルルにも作ってあげたの。
でも、すぐ食べちゃったけどね。
そのあとね、ゲー、ゲーって、吐いてるの。
フフフ」

 娘の遠くを見るような目が、男には眩しく感じられた。
“まったくこの娘は、飽きさせない娘だ”
久しぶりのゆったりとした時間を、男は楽しんだ。
ついこの間までの己の余裕のなさに、苦笑せざるを得なかった。
“一体、何を焦っていたのか”
この娘を見ていると感じさせられる。

「どうしたの? 故郷を思い出したのかな」
「うん。バアちゃん、どうしてるかなあ、リューマチなんだ。
いつもあたい、さすってたんだよ」
「そうか、おばあちゃんが好きなんだ」
「うん、大好きだよ。
お父ちゃんもお母ちゃんも、畑仕事が忙しくてさ。
バアちゃんといつも一緒だったんだ」

 娘の目は、キラキラと輝いた。
「小学校の二年生になってからね、中学を卒業するまでね、畑仕事を手伝ったの。
でもね、去年の、何てったっけ…そう、れいかっていう寒い夏でね、だめになっちゃったの」

 卒業と同時に集団就職の一員としてこの町に来たという。
ホームシックにかかる間もなく、見るもの聞くもの全てが驚くことばかりで、今は楽しくて仕方がないと飛びっきりの笑顔を見せた。

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