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三人三様のノクターン　

2016年07月19日
テーマ：シニアライフ

息子が、ギターを担いでやってきた。

私にはよくわからないけど、我が家にある主人のギターとはちがうらしい・・。

それで、ノクターンの演奏を聴かせてくれる、と言うわけだ。


実はいつの頃からか、主人も自分でノクターンの楽譜をダウンロードして、こちらはピアノで練習を始めていた。


親子三人、それぞれがノクターンにはまっている、という構図である。


息子は凝り性なので、ピアノのオリジナルと、ギター・バージョンの演奏を、ユーチューブで随分色々聴いて研究しているらしい。


それぞれが、気に入っている演奏を一緒に聴いて、感想を述べ合う事から始めた。

まず、息子一押しの、ホロヴィッツのピアノ。

私はうかつにも、彼がこの曲を弾いているとは気づかず、聴いていなかった。


予想通り、超ユニークなタッチで、息子も、彼のペダルの省略の仕方に、特にはまっている様子だった。


すると、主人も「これを聴いてみよう」と、主人お気に入りの女性ピアニストのユーチューブを引き出してきた。

息子が、「アジア系の若い女性で、ものすごく丁寧に弾いている人も居るんだ」と、次はティファニー・ポーンとか言う若い人の映像をご披露。

最後に登場したのは、私がお気に入りの、「フランソワ」


出てきた写真を見て「うわーっ、いい男じゃん」と息子が言う。


「お父さんは、ブロンドの女性ピアニストだし、お母さんは、ハンサム、って面白いよね」


「って、俺が薦めたのも、若い女性だし・・」と言って、笑っている・・。



それからは、一応生演奏の披露をした。


私の中には、一つの企みがあった。

素敵な曲だから、もしできれば、録音してパソコンに取り込み、メールに添付して、現在闘病中の友人に送る事ができたらよいなあと思っていた。

まあ、千羽鶴のような、そんな気持ちで・・。


でも残念ながら、私のデジタルレコーダーは既に古い製品なので、我が家の新しいパソコンには繋げない事が判明。

結局この計画は、チャンチャン、という終わりであった。


息子は、耳コピーで練習しているので、細かい部分がちょっと楽譜と違っていて、私は余り言わなかったけれど、結構主人が「駄目だし」をしていて面白かった。


息子はパソコンで、コピーのお手本にした演奏を聞いて確かめるし、私は目の前にピアノがあった方が説明しやすいので、ピアノ室へ。


狭い家の中を、ギターを持った大男と、パンチパーマの老婆が、パソコンのあるリビングと、ピアノ室を何度も行ったり来たり。

其処に、自分の楽譜を見ながら、主人も口を挟む。


今回の連休は、息子夫婦と娘が遊びに来ていたのだが、

息子のお嫁さんは、こんな時、殆ど口を挟まずに、ニコニコしながら、親子の大騒ぎを眺めている。


娘は何処に出かける時もパソコン持参で、テーブル上にパソコンを開いて、何やら仕事をしながら家族の団らんに加わる、という見慣れたスタイルで、あきれた様に,呟く。


「なんという、音楽的な家族なんだ・・」

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