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パトラッシュが駆ける!

私の離脱 

2016年07月02日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

新聞の一面に「離脱」の二字が躍っていた。
国民投票の結果は、僅差であった。
直接民主主義には、小気味よいところもあるけれど、一方でドラスチックな一面もある。
小差であろうが、数字が全て。
一国の命運が、否応なしに決してしまう。

もしも私が、イギリス国民であったなら、たぶんLeaveに一票を入れただろう。
私は、それが何であれ、束縛されるのが嫌いだ。
しがらみの少ない環境で、自由に生きたい。
所属するコミュニティの繁栄を、先ずは優先する。
そして、外来者とは、容易になじまない。
私には、そういうエゴイスティックなところがある。

一方で、日本人としての私は、少し憤っている。
経済の混乱を招くだけじゃないか。
世界にとっても、イギリス自身にとっても、不幸な事態ではないか。
不満もあろうけれど、ここは大英帝国国民の度量を見せ、大局的見地に立ってほしかった。
世界百年の計に立ち、小異を捨ててほしかった。
という風に思っている。
ニュースを見る度に、思っている。

 * * *

私は、十一年前に、店舗兼用住宅の建て替えを行った。
それを機に、営んでいた、金物店を閉じるつもりでいた。
しかし、厄介なことがあった。
金物店の在庫は厖大であり、その処分は難航が予想される。

また、一挙に仕事をゼロにするのも、いかがなものか。
突然の環境急変は、私自身の体調不良を、招きかねない。
考えた挙句に、一計を案じた。
私のところは角地であるから、これを幸い、商店街に面したメインの店の他に、
脇道に面したところに、入口を設け、小店を作ることにした。
規模を縮小し、それこそ旧店舗の四分の一ほどの店で、金物店を継続することにした。

この時に、考えたことがある。
この際、商店会を辞めよう。
絶好の口実が出来た。
表通りからの撤退を機に、脱退しよう、させてもらおう、ということであった。

全長三百メートルに及ぶ商店街には、数十基の街路灯があり、
その建設費や維持費は、会員の拠出する、会費でまかなわれている。
脇道に引っ込めば、もう街路灯の恩恵は受けない。

実は、嫌気がさしていた。
商店会とて、所詮は人間の集まり、時折、波紋が生じる。
筋を通せば角が立つ。
情に掉させば流される。
と言うことが起きる。

かつて役員の端くれだったこともあり、会の内実もわかっている。
徴収した会費は、街路灯のためだけに、使われるわけではない。
会議費と称し、役員の飲み食いに使われることも知っている。
かつて、商店街診断をやってくれた、えらい先生は、
私達の会の会議費の額を見て、眉をひそめた。
「この比率が高いほど、田舎の商店会なのです」
つまり、後進性を言いたかったのであろう。

会長に退会を告げた。
「このところ、会員減少で困ってるんだ。準会員でもいい。なんとか残ってくれないか」
会長の気持も、よくわかる。
会費の減少は、そのまま、会の消長に影響する。
「表通りの店に、やがてテナントが入ります。その人がきっと、
会員になってくれるでしょう」
こう言って、辞意を貫いてしまった。

あれから十一年が経つ。
困ったことが、一つだけあった。
回覧板が来なくなり、商店街の動静に疎くなった。
特に慶弔のこと。
誰それが亡くなったということが、知らされなくなった。

後で人から知らされる。
今さら弔問に行くのも、おかしなものだ。
結局、義理を欠くことになる。

しかしその後、葬祭の情況が様変わりした。
家族葬、密葬というものが増え、大規模な葬儀は姿を消しつつある。
中には、直葬なんてものまである。

私自身も、妻に言っている。
私が死んでも、葬儀はやるな。
家族だけで、火葬場に運び、焼いてくれればそれでいいと。
そうすると、他人の葬儀に行かないことが、後ろめたいどころか、
むしろ私の、簡素な生き方に合っている。
ろくに付き合いもないのに、同じ商店街に居るだけで、その葬儀に行く。
そんな惰性的慣習を、長年続けて来たのだと気付いた。

いっそ、さばさばした。
「辞めてよかったろ」
「そうね」
当初、私の脱退に反対した妻も、今はすっかり、この情況を良しとしている。

 * * *

私の脱退噺と、イギリスのそれ。
両者を並べてみたところで、何の意味もない。
私のは、一身上の些事、どちらに転んだところで、実害はない。
だから、簡単に決断が出来た。

イギリスのそれは、国際的な大問題、もっと熟慮すべきではなかったか。
若い世代に、残留派が多いと聞く。
即ち、協調路線である。
一方で、シニア世代ほど、離脱に傾いているという。
これは、名誉を重んじ、敢えて孤立を選ぶという道だ。

ここに示唆がある。
どちらが正しい、間違っているという話ではない。
一つだけ言えば、若者の意見ほど、尊重されるべきだ。
今後の国を担うのは、彼らなのだから。

若者こそが、前面に立て。
年寄りは控えよ。
ということを、若者が言ったら、角が立つ。
人生の残余年数の少ない、私が言う分には、許されるのではあるまいか。

それにしても私は、自分はさっさと離脱したくせに、人には慎重を求めている。
まことに身勝手というよりない。



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静観がいい

パトラッシュさん

プラチナさん、
イギリスに限らず、
今後のことは、若者に任せればよいと思います。
よしんば、それで間違えても、やり直しがききます。
年寄りが決めると、もう責任の取りようもありませんから。

2016/07/03 18:16:11

割り切っています

パトラッシュさん

ウィールマンさん、
二者択一、それは悩みますね。
十年ごとに、行ったり来たり……という訳にも、行きませんしね。

お墓の問題は、何処も悩ましいです。
この少子化の時代ですから。
私のところもそうです。
娘が二人で、それぞれ他家に嫁いでおりまして、我が家の名を継ぐ者はおりません。
家は断絶、墓も無縁墓となりそうです。

しかし、仕方ないですね。
思いわずらっても、私の力では、どうにもなりません。
後は野となれ、山となれ……で、とりあえず埋葬してもらい、その後どうなろうと、構わないということにしました。

そして私ばかりではなく、この日本では、同様の事例が、数限りなく起きると思います。

そして葬儀も、この国では簡略化が進むと思います。

2016/07/03 18:13:03

現状適応

プラチナさん

世界は、英国の若者が感じている様に強調より協調かも知れませんね。
以前にパトラッシュさんのブログにも有りましたが、シニアは無心で個独に過ごせれば、それで…。

2016/07/03 14:32:27

パトラッシュさん

ウイールマンさん

葬式の件では、ほんとに困っています。
アメリカでは今だ土葬が多いんです。

火葬って火に焼かれちゃうんでしょう。
いくら死んだ後でも、焼かれちゃうのはいやなんです。
何か地獄に入っていくようで。今まであまりいい行いをしてこなかったので、余計にそう思うのかも知れませんが。

そのまま土の中に入れてもらいたいし、ここの近所にいいお墓があるんです。
丘の上から、町が一望に見えます。ほんとはそこに行きたいんですが。
我が家のお墓が長野にあり、家族の皆そこに行ってます。よって自分もそこに行くのが、義務のような気がします。

しかしそこに行くには、火葬してもらわなくちゃいけないし、、、

と言うわけで、アメリカか日本か、、、
行き場所が決められない今、しばらくはいくらお呼びが来ても、死ぬわけには行きません。

決心するまで、あと何十年かかるのやら。多分決められないでしょう。

2016/07/03 10:19:21

親分肌

パトラッシュさん

喜美さん、
旦那様は、人をまとめ、その上に立つことが似合う、つまりは、人望を持った人だったのでしょう。
奥様としては、少々気を揉んだかもしれませんが、
ご当人はきっと、満足だったのではないでしょうか。

喜美さん、
旦那さんと一緒になられ、
とても豊かな(金銭的な意味でなく)人生を送られましたね。

2016/07/02 13:10:49

機会

パトラッシュさん

シシーマニアさん、
やりましたか、役員を。
シシーマニアさんの、落ち着いた口調には、説得力があり、
きっと衆望を集めたと思います。

マンションにも、役員があるのですね。
出来るうちが花……ということもあります。
どうぞ、お力をお尽くし下さい。
但し、衆望を集め過ぎ、理事長に推戴……なんてことも、なきにしも非ず。
その辺は、賢明なるご判断にて……(笑)

2016/07/02 12:26:08

盛会

パトラッシュさん

ryuuseiさん、
えらいですね。
役員を買って出られるとは。
きっと御地の町内会は、円滑に運営がなされているからでしょうね。

神輿の担ぎ手に、他からも集まるとは、恵まれています。
当地など、やっとかき集めて、巡行しているようです。

2016/07/02 12:12:48

色々な人

喜美さん

主人は子供が中学の時3年間PTAの役員やりました 一年は副会長 2〜3は
会長を 大変な仕事みたいでした
女性で訳わからない質問したりバカバカしくてとか言っていましたけれど
此処の土地で仕事していましたから
仕方なく 其れに又お金かかります
会のお金から使う人もあるでしょうけれど主人は其れは駄目だとか自腹が多かったみたいです 積み立てて皆で旅行があったりすると仕事は休んでも行かなければなりませんし観光バスにカラオケもなく其のころ はやっていましたから車に積み込むカラオケもかったり今二階で埃被っています 仕事以外でも色々気遣いや時間かかっていました なるべくやりたくないですね

2016/07/02 12:11:13

様変わり

パトラッシュさん

吾喰楽さん、
今や、葬儀の話になると、密葬、直葬を希望される方が、
とても多いです。
(大々的にやってほしい……という人は、私の知る範囲では見かけません)
中には、散骨を希望される方も居ます。

昔は、みすぼらしい葬式では、肩身が狭いという考えもあったようです。
今は、そんな虚栄に囚われなくなり、結構なことだと思っています。

2016/07/02 12:08:31

ボランティアが、時折強制になるのは嫌ですね

シシーマニアさん

私はPTAの役員をつとめたことがあります。

なり手がいなくて、欠席裁判でした。
勤めているお母さんが多いので、PTAと聞くだけで拒絶反応がでたりしますが、中には学校の中の様子がわかるから一度はやっておいても良いと言う人も居ました。

今住んでいるマンションにも、自治会があり、そろそろ理事の順番が来る頃です。暇だし、様子がわかるという前向きの姿勢で、受けて立とうと思っています。

2016/07/02 11:48:26

町内会

ryuuseiさん

当方も町内の役員をしています。

区の広報配布、月2回の役員会議
町会費の訪問集金、防犯、交通など
警察との催しに参加。

役員会議終了後、町会会館で食事、飲み会になります。

年に一度のお祭りは土日行われ都内各地から担手が参加します。世話係が大変です。

至ってしがらみも無く気楽に役員を務めてます。

2016/07/02 11:06:47

直葬

吾喰楽さん

おはようございます。

父が亡くなった時は、自宅で葬儀を行いました。
自営業だけあり、大勢の方が来てくれました。

母の時は、近くの火葬場に付属した斎場です。
身内と、極親しい親戚知人だけです。
通夜と告別式は、殆ど同じメンバーでした。

私自身の時は、直葬で構わないと思っています。
シニアナビの皆さんへ報告と、然るべき時期の退会を、息子に頼んでおくつもりです。

2016/07/02 10:20:44

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