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敏洋’s 昭和の恋物語り

[舟のない港] (五十六) 

2016年06月09日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



幾度かの転職後のことだ。
職業安定所の係員に、「プライドを捨てなければ、駄目だよ」と、窘められるに至った。
「そんなつもりはない!」と、強弁したものの、男自身も感じ始めていたことだ。
これといった資格を持たない男に、不況の風は冷たい。

そんなある夜、食品会社に勤めた折りに接待に使ったバーに寄った。
今では、そこが男にとって唯一の安らぎの場所になっていた。
アパートには、相変わらずミドリがやって来る。
自分のアパートが、自分の部屋ではなくなっていた。

「どうしたの、ミタちゃん。今夜は、元気が無いわね」
と、店のママに声をかけられても、ただ苦笑いをするだけだった。
「この辺で、腰を落ち着けてくださいよ」と、職業安定所の係員に最後通告ともとれる言葉を投げかけられた。
その会社に、今日、不採用を告げられた。

「いらっしゃい!  お久しぶりですね、一年ぶりかしら。ホンと、彦星さんね」
ママの声につられるように、入り口を見やった。
洒落たスカーフを首に巻いた紳士が入ってきた。
「そうさ、織り姫様には一年に一回の出会いだよ」
そう答えながら、後ろの女性を手招きした。
「ママが色好い返事をくれないから、今度後妻をもらった。麗子と言うんだ」

“麗子?”
その言葉に、男は弾かれるようにその紳士の後ろの女性を見た。
「あっ」思わず声を出した。
紛れもなく、あの麗子だった。
顔形は、確かに男の知る麗子だったが、その姿から滲み出ている妖しいまでの気品は、嘗ての麗子からは想像もできない。

一言二言、その紳士に声をかけると、麗子が男の傍に座った。

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