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敏洋’s 昭和の恋物語り

[舟のない港] (五十四)匂い 

2016年06月04日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「このごろ、時々道夫兄さんの目が怖くなるの。
何だか、今までとはちがったものに感じるんです。
わたしの思い過ごしかもしれないけれど。
道夫兄さんの目の中に、妹としてではなく女として見ているような、そんなものを感じるんです。
ねえ、武さんにはそういった経験はある? 妹を女として見るということ」
遠くを見ているような男を感じたミドリは、体を起こすと、呟くように言った。

「いや、妹はいない。ぼくは一人っ子だ。
けど、妹のように可愛がっていた女の子は居た。
大学時代に帰省したときだったけど…」
男は目を閉じて、その頃を思い浮かべた。

「小さな町のことだ。ちょっとしたことがすぐに噂になる。
小学六年生だったかな。毎日、朝早くから遊びまわっていたんだけど。
池で泳いだり、神社でかくれんぼをしたり、丘に駆け上ったこともあったな。
とに角、童心に戻って遊んだ。
隣の町で映画を観た帰りに、蛍に気をとられて遅くなった翌日だった。
井戸端会議で、ピーチクパーチクやられたよ。

ショックだったなあ、あの時は。
『タケシ兄ちゃん、またね!』って、その子の声は今でも耳に残っている。
でも、そのことで、確かに意識をするようになったことは事実だ。
道夫君がそうかどうか、断定はできないが、あり得るだろうな」

男は、“今の君は、女の匂いを漂わせているから”という言葉を口に出すことはせず、飲み込んだ。

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