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従妹の思い出 

2016年06月01日 ナビトモブログ記事
テーマ:思い出すままに

4歳下の、従妹がいた。

4年前の今日、旅立ってしまったのだが・・。今も元気だったなら、明後日65歳になる筈だ。


お互いに幼かった頃は、4歳も年齢差があればジェネレーションギャップ風な違いがあったけれど・・。

気の合う叔母の家だったので、一つ下の従弟と二つ下の弟と、その従妹の四人で、半ば兄弟姉妹の様に育った思い出が多い。

従妹もピアノを習っていたけれど、今思えば、私の中で従妹が弾いていたという記憶がない。その姿も思い出せない。

自分の中にきっと、ピアノと言えば私、といった風な傲慢さがあったのかもしれないし、親戚の中でも、そういった了解が暗黙の中にあったのだろう。


おしゃべりな従妹ではなかったけれど、高校生の頃だったか、実に理路整然と叔母たちを相手にして論破していく姿を見て、愕然とした事がある。

それが、従妹に対する見方が変わった、第一歩だったと思う。

何時までも、ガキじゃないんだといった風な・・。


私が大学生で、従妹が高校生の時、二人で旅行をした。

私が、女性は中々一人旅ができない、と叔母にこぼしたことがあって、「だったら、従姉妹ふたりで出かけて、それぞれの旅をしたら?」と、叔母が素晴らしいことを思いついてくれたのだった。


二人で、諏訪湖畔の宿に二泊した。

従妹は、受験前だったから教科書などを持ち込んでいた。

私は着いた翌朝、一人で湖畔を歩いて一めぐりした。


夕方になって、宿に戻り、お互い報告してみたら、どうやら同じ食堂でお昼ご飯を食べていたらしい。


夜になって、お部屋の縁側にある籐椅子に座って、四方山話をした。

それは、二人でゆっくり話した、最初の機会だったかもしれない。


その時の従妹の話の、楽しかったこと。

内容は覚えていないけれど、女性にありがちな自分の失敗談を並べて笑う、といった会話では全然無くて。

多分従妹には、相手の気持ちが、手に取るようにわかるのだろう。

私の中で、何かを感じたその瞬間、間髪を入れずに、それに関して何かを言うのだ。

その言葉の選択に、何ともいえないユーモアがあって、笑い通しだった気がする。

私の周りにはユーモア好きな人が多いし、私も受け取る方のセンスはあると思う。

しかし私は、従妹の様に、クリエイティブなユーモアのセンスは、持ち合わせてはいない、残念ながら。


私がウィーンに留学したのと、従妹が東北大学に進学したのが同じ時期だったので、お互い初めての一人暮らしという共通項もあって、それからは暫く文通が続いた。

一人暮らしが始まったころ、従妹からきた下の様な手紙を、私は何度繰り返して読みながら、一人で笑った事か。

「今日は朝から、三言しか話しませんでした。その内容も、お昼に学食で、『Bランチ一つ』と言ったのと、バス停で道を訊かれて『知りません』と言ったのと、下宿のおばさんにお風呂に入るか聞かれて『風邪気味なので入りません』と答えただけです」


それが、あるとき手紙も退屈なので、宮沢賢治の好きな詩を送ります、と長々と書いてくれた事があった。

クリエイティブなセンスに欠ける私は、従妹の意図をくみ取れず、しかも宮沢賢治の詩にも共感できず、そのままやり過ごしてしまった。

それが、従妹との分かれ道だったかもしれない。


                                                      続く



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大切な人でした

シシーマニアさん

Reiさん、コメントありがとうございました。

中々味のある、従妹でした。
余り、ゆっくり話す機会もありませんでしたが、何を考えて人生を送っていたのかなあ、と時折思い出しています。

2016/06/01 17:08:52

最近、気づきました。

シシーマニアさん

彩さん、コメントありがとうございます。

そうなのです、続きは又書きますけれど。
きっと従妹の命日を思い出しているのは、私くらいかと思われて・・。

そうですか。グリークラブのご主人様は、72歳におなりになるのですね。

思い出って、相手の事は良いことばかり思い出しますが、自分の事は結構苦いことを覚えているものですね。

2016/06/01 17:01:24

楽しみです

Reiさん

こんにちは。

従妹さんとの思い出・・・これからどうなるのか、楽しみです。
一つの物語のようです。
個性的でユーモアのある方だったようですね。

2016/06/01 16:56:04

交流は良いですね。

シシーマニアさん

喜美さん、コメントありがとうございました。

>誰も来なかったことを 主人が悪いように話しています 

には、笑ってしまいました。
喜美さんご夫婦の生活が、想像できますよね。

私は、無口の主人よりは話しますけど、それ程おしゃべりな方でもないのです。
ブログを書いて、言葉を忘れるのを防ごうと努力していますが、だんだん声も出なくなって来るのではないかと、心配なくらい・・。

2016/06/01 16:54:25

とても良いお話しです

彩々さん

今日がそのお従妹さんのご命日なんですね。

私の夫も6月でした(8日)
存命なら72歳。

同性の従妹との思い出って、良くも悪くも
心の中にシミのように残っている気がします。

シシーさんが思いだされ、こうしてBlogにも書かれる
事もご供養になりますね。

2016/06/01 16:19:30

お喋り

喜美さん

私も非常におしゃべりです
上も下も男も女も皆平等に喋り捲る?
見たいです 此れは孫達まで言っています 其の為おじいちゃんは無口になったんだよと。主人は すぐ返事来ないで考えて話しだすみたいな人でセッカチな私は一人で話し一人で決めていました 間違った事は流石主人も聞き流しませんでしたけれど 今でも何方も見えなかった日は主人の写真の前で
誰も来なかったことを 主人が悪いように話しています 

2016/06/01 14:58:37

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