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敏洋’s 昭和の恋物語り

[舟のない港] (四十二) 

2016年05月12日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「まあまあ、御手洗さんの前で、姉妹喧嘩なんかして。ごめんなさいね、
いつもはこんなじゃないんですよ」と、母親が場を取り繕った。

しかし、妹は収まりがつかないらしくミドリに言い返した。
「いいじゃない。お姉さんの恋人じゃないんでしょ、武さんは」

男はドキリとした。
ミドリも下を向いた。
心なしか、赤くなっているように見える。

「えぇっ、お姉ちゃん。やっぱり 武さんのこと好きなんだ。
私にはそんなんじゃないって言ったけど」

「ハハハ、違うよ。そうだと僕は嬉しいがね。
ミドリさんに悪いよ、僕なんかでは」

慌てて答えたものの、?しまった? という気持ちが湧いた。
ミドリに対して、先程の行為をどう説明すればいいのか。

「えっ」 危うくミドリは声を出すところだった。
男の言葉に不信感を抱いた。
が、すぐに思い直した。

?私のことを考えてのことね。この場で言えることじゃないわ?

「わかった、わかった。美都子ちゃんには負けたよ。今度、デートしようか。
いいですか、お母さん」
と、男は妹の言葉を引き取った。

「まあまあ、姉ならず、妹までも。
すみませんね、武さん。あら嫌だ、私まで武さんだなんて」

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