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敏洋’s 昭和の恋物語り

[舟のない港](八) 

2016年03月10日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



 暫く沈黙を続けながらネオン街を歩き、外れの小さな屋台でラーメンをすすった。
盛んに「おいしい、おいしい」と頷きながら、パクつく娘だった。
 体も温まり、また二人して当てもなく歩き始めた。
五分ほど歩いたろうか、突然娘が
短く言った。

「ホテルに行こう!」
「いや、帰りなさい。送って行こう」

 男は予期していたかの如くに、前を見たまま強く言い放った。
娘は立ち止まり、じっと男を睨み付けた。
それは妥協を許さない強い目だった。
男がいくら説得しても、ガンとして動かない。
男は、困惑しつつも悪い気はしなかった。

「わかった、わかった。仕方がない。
丁度あそこにホテルが見える。今夜はあそこに泊まろう」
 娘は目を輝かせて、三百メートル程先のホテルへ、男の手を引っ張って走った。

 男は娘の本心を図りきれずにいた。
こうなることを期待しつつ声をかけはしたが娘と接する内に逆にそんな自分に嫌悪感を抱き始めた。
しかし物怖じせずに部屋のドアを開ける娘を見て、男はつくづく世代間の差を感じた。

 今が青春のこの娘を羨ましく思った。
しかしまた、無軌道すぎる娘が逆に哀れでもあった。
目的のつかめないままに、毎日を無為に過ごす若者たちが哀れに思えた。
男が部屋のロックを確認して娘の方を見ると、窓際に立って外を見ている。
「やはり後悔しているのかな」と思いつつ、冷蔵庫の中のビールをテーブルに置いた。

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