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映画「私を離さないで」 

2016年02月19日 ナビトモブログ記事
テーマ:シニアライフ

「私を離さないで」が、カズオ・イシグロ作品で私が最初に読んだ小説である。

数年前に映画が公開されていたので、本も簡単に手に入ったのだ。

せっかくなので、まず本を読んで、それから映画館へ足を運んだ。

それは、「さすが、英国作品!」と拍手したくなる様な映画であった。


現在連続ドラマが進行中だから、詳細には触れないけれど。

あの現実離れしたモノクロトーンを思わせる格調の高い映像は、全体に流れる深い悲しみもどこか幻想的に包まれて、カズオ・イシグロという日系人作家のイギリスでの存在感を、測り知ることができる気がした。


背景となったまるで貴族の館の様な寄宿舎の光景も、主人公たちが訪れる海辺の村の風景も、キャシー役を演じた女優さんも、どこか非現実的で、見終わった後の余韻にもリアリティーを感じさせない配慮がなされていたと思う。


続けて、アマゾンで「日の名残り」の本とDVDを購入したり、それからカズオ・イシグロ作品は、私の愛読書となったのだ。


先日、「私を離さないで」のDVDを見つけて購入したので、先ほどそれを見る前に、現在放映されているドラマをユーチューブでちょっと覗いてみたのだが・・。

綾瀬はるかは好きな女優さんだけれど、やはり見知っている人が演じてしまうと、映画が私に伝えてくれたもっとも印象の強かった非現実性が、どうしても消え失せてしまう。


それで思い出したのが、有吉佐和子作品の「悪女について」であった。

あれは、テレビと週刊誌と同時進行で毎週進行していくという、非常に面白い趣向だった。

でも、何といっても素晴らしかったのは、謎を秘める女主人公を演じたのが、影万里江という劇団四季の女優さんだったということだ。

つまり、影万里江という女優さんは、その頃テレビには余り出演していなかったので、ベテランであるにも関わらず、視聴者には殆ど先入観がなかったのだ。



映画「私を離さないで」のDVDを購入したものの、テーマが重いので気楽にみる気分になれなかったのだけれど、テレビ版を覗いたお蔭で逆に、あの感激を再び味わいたくなって、先ほど覚悟して見た。

テレビ版をきちんとみて、比較してみたい気もするけれど、その作業はちょっと、シニアには重いかな・・。

そして、どうも西洋志向の強い私には、英語のセリフというのも、非現実的な世界を描くのに一役かっている気がした。

よくわからない、という曖昧模糊としたセリフの響きが、私の中では更に異国情緒をかり立ててくれる様である。

実に、良い映画であった。



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