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敏洋’s 昭和の恋物語り

にあんちゃん 〜通夜の席でのことだ〜  (四) 

2016年01月28日 外部ブログ記事
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 そして今、にこやかに微笑むシゲ子が思い出される。
学校帰りにいつも立ち寄っては、祖母手作りのおやつを食した。

時に食べ過ぎて、夕食が進まぬ事もあった。
母の道子に「おやつはほどほどに」と言われているのだが、ついつい食べ過ぎてしまうほのかだった。

 ほのかが小学三年生のときだった。
いつもの帰り仲間が風邪でお休みをしていて、一人で帰ることになってしまったほのかだったが、たまたま帰りが一緒になった次男(つぐお)と久しぶりに道草をした。

いつもは横目で見るだけの公園に入った。
二人並んでブランコ遊びをしている内に日も傾いてしまい、そのまま自宅へと直帰した。

 知り合いの農家から穫れ立てのサツマイモをいただいたシゲ子は、ほのかに食べさせてやろうと準備をした。
町内会に出かけた孝道から忘れ物を届けてくれという電話がかかり、いつもの如くにテーブルに用意して出かけた。

 滅多に立ち寄ることのない長男が、打ち沈んだ表情で「ばあちゃん、ばあちゃん…」と裏口から声をかけた。
何度声かけをしても返事がないことから帰りかけたが、覗き込んだ台所のテーブル上にあるサツマイモに目が止まった。

 ほくほくと湯気の立つそれが美味しそうに見えた長男、空腹感に耐えかねて手を出した。
食べ終えた後、暫く帰りを待つ長男だった。

心に棘として突き刺さっている事を聞き質したかった。
孝道では本当のことを話してくれない気がしていた。
ごまかされてしまうのでは? と思えた。

「ぼく、定男おじさんの子なの?」
 そのひと言が、ずっと言えずにいた。

 正月に孝道の元に集まった親戚連の会話を耳にしてしまった。
「そうかい、もう大学入試かい。あの勉強嫌いの定男の息子がなあ…」
「定男さんの消息は、あれ以来分からずじまいなんですねえ…」
「ああ…。二十年近くになるか…」

 感慨深げに語り合う叔父・叔母たち。
絶句して立ちすくんだ長男だが、だとすれば合点のいくことばかりだ。
誰にも言えずひとり思い悩む長男だったが、今、その真偽の確認にきたのだ。

しかし、日が暮れ始めたことから諦めて家路に就いた。

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