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敏洋’s 昭和の恋物語り

にあんちゃん 〜通夜の席でのことだ〜(三) 

2016年01月25日 外部ブログ記事
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 翌日は朝から雨がしとしと降っていた。
大勢の弔問客の訪れる中、ほのかは母親の背にぴったりとくっついて、隠れるように座っていた。
どんなに「席に戻りなさい」と言っても聞かなかった。

僧侶の読経が続く中、孝男関係の弔問客が次々に焼香を続けていく。
間を縫うようにして、故人の弔問客が孝道に「気を落とされないように」と声をかけていく。

 いよいよ出棺の時がきた。
棺に花が手向けられていく中、ほのかの手に花が手渡された。

それが何を意味するのか、ほのかには十分すぎるほど分かっている。
そしてこの時が最後の別れとなることも分かっている。
今を逃せば、二度と祖母に会えぬことも。

大好きな祖母を見送らなくては、そうは思う。
思いはするのだが、どうしてもほのかの足は前に進まない。
どころか、後ずさりしてしまう。

「小学四年の少女には耐えられないかな」
「シゲ子さんの死を受け入れられんのだろう」

 囁き合う声が、そこかしこから聞こえてくる。
後ずさりをして行くほのかの姿は、見る者すべての涙を誘った。

「もういい、もういい。もうやめなさい。
無理強いは良くない。孝男、道子さん。
ここまでにしよう。いいんだ、いいんだよ、もう」

 祖父が声をかけ、ようやくほのかは解放された。
激しく泣きながら本堂を駆け出し、そぼ降る雨の中に飛び出した。
咲き乱れている紫陽花が、ほのかの目に飛び込んだ。

思わず「婆ちゃんの好きな花だ」と口に出た。
と同時に
「ほのかちゃん。紫陽花はね、黄緑から青色に変わり最後には赤くなるんだよ。
だからね、七変化とか八仙花とも呼ばれるお花だよ」
 と、 シゲ子の声が聞こえたような気がした。

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