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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空〜(十九)少し太ったんじゃないか? 

2015年11月17日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「おいしい? なんだか、早苗もお腹空いてきちゃった。おばさん、早苗にも作ってくれる?」
「食べてないのか、お昼は」
「食べたんだけど…お兄ちゃんが、あんまり美味しそうに食べるから…」

「大食いだなあ、相変わらず。太るぞ、それじゃあ。そういえば、少し太ったんじゃないか?」
「お兄ちゃんの、意地悪う! 太ってないよお、早苗。
おっぱいが膨らんだだけ。触ってみる? 
おばさんには負けるけど、クラスで一番だよ」

誇らしげに、早苗は胸を突きだした。確かに、セーターが盛り上がっている。
厚着のせいかと思っていた、彼だった。
「どれどれ、本物か?」
彼は指をくねくねさせて、手を伸ばした。
「いやだあ。お兄ちゃんの手、いやらしいぃ」
と嬌声を上げて、早苗は小夜子の元に逃げた。

早苗には言える戯れ言が、今では彼の楽しみになっている。
由香里が同じ行為をしたとしても、こんな風に受け答えはできない。
父親の存在がのし掛かっていることだけではない。
早苗と由香里、それぞれにひとりの人格を持っていることもある。
しかしそれだけでもない。幼いころから早苗の遊び相手になっていたこともある。

小夜子は彼を軽く睨みながら、
「はい、できましたよ。タケくん、ひとつずれてくれる? 早苗ちゃん、となりに座ってね」
と、器を置いた。
「あっ!」
思わず口をついて出た。
「どうしたの、急に。びっくりするじゃないの」
?お母さん…あなたがいるから…?

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