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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空〜(十八)たけしさん…いないもん! 

2015年10月30日 外部ブログ記事
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風呂から上がった彼は、ほうほうの態で立ち返った。
由香里は得意満面で道すがら彼に話し掛けた。
「たけしさんのこと、芸能人みたいだって」

普段ならば“先生”という由香里が、上気した顔付きで“たけし”と呼んだ。
由香里が彼のことを名前で呼ぶ場合は、大方気分が高揚しているときが多い。
これ以上の深入りを避けたい彼は、必要以上に言葉を堅くすることにした。

「からかわれているんだよ、それは。娯楽のない所だからね、ここは。真に受けちゃだめだよ」
「そんなことない。たけしさんは、だれが見てもステキなの」
「ここには若い男が居ないからさ。
学校だって、中学どまりだろう。話によると、高校に行くには下宿しなくちゃだめだってさ」

由香里の頬が膨れ、明らかに不満な表情をしている。
「由香里の中学でも、たけしさん…いないもん!」
言うが早いか、彼を置き去りにして駆け戻った。

「あれあれ、嬢ちゃん。どうしたかねえ」
お千代さんが、走り去る由香里を見遣りながら彼に声をかけてきた。
「はあ。ちょっと怒らせたかもしれません」
「ばばが、からからいすぎたかのお」
顔を曇らせながら、お千代さんは由香里の姿を追い続けた。

「僕なんですよ、僕が、ちょっと‥‥」
「のお、難しい年頃だでのお。これから、どうしなさるかの?」
「はあ、少し散歩でもしますよ。由香里ちゃんのご機嫌をとります」
「うんうん。そうしなせえの。ばばは、家でやることがあるで、のお」

道すがらすれ違う人に声をかけられる度に、お千代さんが「由香里ちゃんのいいひと、だがの」と、返答するのには閉口する彼だった。
苦笑いをしながら、彼は頭を軽く下げ続けた。

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